抜け毛の原因は睡眠不足?睡眠の質を上げるための対処法を徹底解説

抜け毛の原因は睡眠不足?睡眠の質を上げるための対処法を徹底解説

「最近、抜け毛が増えた気がする…」

そう感じている方は少なくないはずです。

そんな方に見直していただきたいのが、日頃の睡眠習慣。

実は、睡眠と抜け毛には密接な関係があるのです。

本記事では、睡眠不足が抜け毛を引き起こすメカニズムについて解説します。

さらに、睡眠の質を高めて抜け毛を改善する方法や抜け毛のチェックポイント、睡眠不足以外の抜け毛の原因まで、幅広く紹介します。

睡眠の質を向上させ、健やかな髪を取り戻しましょう。

睡眠不足が抜け毛増加につながる理由

睡眠不足が抜け毛増加につながる理由

睡眠不足は、単に日頃の活動で眠気を誘うだけでなく、私たちの体にさまざまな悪影響を及ぼします。

特に髪の毛にとっては、成長を妨げ、抜け毛を促進する原因になります。

以下で紹介する3つのメカニズムを通じて、こうした症状は起こると言われています。

成長ホルモンの分泌量低下

成長ホルモンは、子供の成長を促進することはもちろん、大人の体の細胞も修復・再生する重要な役割を担っています。

髪の毛も例外ではなく、この成長ホルモンの働きによって、髪の毛が健やかに成長を続けられるのです。

しかし、睡眠不足になると成長ホルモンの分泌が滞り、髪の毛の成長が阻害されてしまいます。

特に、成長ホルモンは入眠後〜3時間の間に多く分泌されるため、睡眠の質の低下は、髪の毛にとって大きなダメージとなります。

頭皮の血行悪化

髪の毛は、血液を通じて運ばれる栄養によって成長します。

睡眠不足になると、血管が収縮して血行が悪化するため、頭皮への栄養供給が滞ってしまいます。

これにより、髪の毛が成長するために必要な栄養が不足し、抜け毛や薄毛の原因となるのです。

また、ストレスも血行不良を招く要因となるため、睡眠不足とストレスが重なると、さらに深刻な影響を及ぼす可能性があります。

自律神経バランスの乱れ

自律神経は、体のさまざまな機能を調整する役割を担っています。

睡眠不足になると、自律神経のバランスが崩れ、リラックスしているときや寝ているときに優位になる副交感神経よりも、活発に活動しているときの交感神経が優位になりがちです。

交感神経が優位になると、血管が収縮して血行が悪化するだけでなく、頭皮の皮脂分泌が過剰になったり、炎症を引き起こしやすくなったりします。

その結果、頭皮環境が悪化し、抜け毛を招いてしまうのです。

抜け毛と睡眠の関係と重要性

抜け毛と睡眠の関係と重要性

次に、抜け毛と睡眠の関係と、その重要性について解説します。

睡眠の役割

睡眠は、私たちの心身の健康を維持するために不可欠なものです。

これは単なる休息ではなく、日中の活動で疲れた脳や体を回復させ、明日への活力を養うための重要な時間です。

睡眠には、主に以下のような役割があります。

睡眠の役割詳細
脳の休息と記憶の整理睡眠中、脳は日中に得た情報を整理し、記憶として定着させます。
また、脳内に蓄積された老廃物を除去する働きもあります。
体の修復と成長睡眠中は、筋肉や骨などの組織が修復され、成長ホルモンが分泌されます。
これにより、体の成長や免疫力の維持が促進されます。
心身の疲労回復睡眠は、心身の疲労を回復させる最も効果的な方法です。
十分な睡眠をとることで、ストレスを軽減し、精神的な安定を保てます。

ノンレム睡眠とレム睡眠

睡眠は、ノンレム睡眠とレム睡眠の2つの状態を交互に繰り返すことで構成されています。

それぞれの睡眠段階には、異なる役割があり、それぞれ以下の通りです。

ノンレム睡眠レム睡眠
サイクル60〜80分10〜30分
眠りの深さ深い浅い
状態・脳の活動が低下し、深い眠りに入っている
・呼吸や心拍数が安定している
・脳は起きている
・眼球が動く
・夢を見やすい
役割・成長ホルモンの分泌
・脳の休息
・身体の成長や発育
・新陳代謝アップ
・肌のターンオーバーを活性
・記憶の整理
・感情の処理
・技能の習熟

睡眠は、ノンレム睡眠とレム睡眠を合わせた約90〜120分を1つのサイクルとし、これが一晩に3〜5回ほど繰り返されると言われています。

ノンレム睡眠とレム睡眠は、どちらも心身の健康維持に欠かせず、これらの周期的な繰り返しによって、私たちの体は修復され、成長していくのです。

そのため、質の高い睡眠を得るためには、ノンレム睡眠とレム睡眠のバランスが重要です。

睡眠と成長ホルモンの関係

先述の通り、成長ホルモンは、子供の成長を促進するだけでなく、大人の体の修復や代謝にも関わる重要なホルモンです。

成長ホルモンが分泌されるのは、主に深いノンレム睡眠の最中です。

睡眠不足になると、成長ホルモンの分泌が減少し、髪の成長に必要な栄養が不足するため、抜け毛の原因となることがあります。

また、成長ホルモンは、入眠後〜3時間の間に最も多く分泌されます。

この時間帯の睡眠の質は、髪の健康に大きな影響を与えると言えるでしょう。

かつては夜10時から深夜2時にかけて成長ホルモンが分泌される「睡眠のゴールデンタイム」があると考えられていましたが、この説に関する科学的根拠は見つかっていません。

現在では、睡眠の時間帯よりも、まとまった睡眠時間を確保することが、成長ホルモンの分泌に深く関わることがわかっています。

年齢と睡眠時間の関係

睡眠時間は、多ければ良いというわけではありません。

必要な睡眠時間は、年齢や人によっても異なります。

一般的に、年齢を重ねるにつれ、必要な睡眠時間は短くなる傾向があります。

年齢必要な睡眠時間
乳幼児12〜16時間
学童9〜11時間
成人7〜9時間
高齢者6〜8時間

必要な睡眠時間には個人差があります。

日中の眠気や疲労感などを参考にしながら、各自が自分に合った睡眠時間を見つけることが大切です。

抜け毛の正常・異常の見分け方

抜け毛が気になり始めたら、まずは正常な抜け毛と異常な抜け毛を見分けることが大切です。

抜け毛の本数、毛根の状態、毛の太さなどをチェックすることで、抜け毛が正常な範囲内なのか、それとも何らかの異常が疑われるのかを判断できます。

抜け毛の本数

健康な人でも、1日に50〜100本程度の抜け毛があるのは普通です。

これは、ヘアサイクルによる自然な生え替わりであるため、心配する必要はありません。

1日に100本以上髪の毛が抜ける場合や、特定の期間に抜け毛が著しく増加する場合は、異常な抜け毛の可能性があります。

ただし、正確な本数を数えるのは難しいので、あくまで目安として考えましょう。

例えば、朝起きた時に枕に着いた抜け毛の量や、シャンプー時の抜け毛の量などをチェックし、以前より明らかに増えている場合は、注意が必要です。

抜け毛の形

正常な抜け毛の毛根は、膨らんだ形をしています。

これは「毛根鞘」と呼ばれるもので、毛髪が成長する際に必要な組織です。

毛根鞘が付着している抜け毛は、ヘアサイクルを終えて自然に抜け落ちた健康な毛髪です。

一方で、毛根に膨らみがなかったり、ギザギザしたりしている場合は、なんらかの頭皮トラブルの可能性が高いため、注意しましょう。

抜け毛の太さ

正常な抜け毛は、ヘアサイクルを終えて自然に抜け落ちた髪の毛であるため、太くてしっかりした毛が多く、ある程度の長さがあります。

一方で、細くて短い抜け毛は、ヘアサイクルの途中で抜け落ちてしまった髪の毛の可能性があります。

季節によって抜け毛の本数は変わる

抜け毛の本数は、季節によっても変わります。

以下のような理由で、夏から秋にかけては、抜け毛が増える方が多くなると言われています。

  • 強い紫外線
  • 皮脂や汗の多量分泌
  • 海やプールの塩素
  • エアコンの使用
  • 夏バテによる栄養不足

ただし、季節による抜け毛の増加は一時的なもので、通常は自然に落ち着きます。

過度に心配する必要はありませんが、抜け毛の量が著しく多い場合や、頭皮環境の悪化など、他の症状が見られる場合には、専門医への相談をおすすめします。

なお、以下の記事で夏に抜け毛が増える原因と対策について解説しているので、ぜひ参考にしてください。

睡眠の質を高める方法

睡眠の質を高める方法

では、睡眠の質を高めて抜け毛の症状を和らげるには、どうしたら良いのでしょうか。

ここからは、睡眠の質を高める具体的な方法を紹介します。

すぐに対策できる方法ばかりですので、できることから実践してみましょう。

就寝前のスマートフォン・PCを避ける

寝る前にスマートフォンやPCを操作すると、画面から発せられるブルーライトによって睡眠の質が低下します。

ブルーライトは脳を覚醒させる効果があり、睡眠に関わるホルモン「メラトニン」の分泌を抑制するため、寝つきを悪くしたり、眠りを浅くする原因となります。

就寝1~2時間前からはスマートフォンやPCの使用を控え、読書や瞑想など、リラックスできる活動に切り替えるのがおすすめです。

規則正しい睡眠習慣を身につける

毎日同じ時間に寝て起きるのも、おすすめです。

時間が一定化することで、体内時計が整い、自然な眠りにつきやすくなります。

週末に溜め込んで寝たりするのは、体内時計を狂わせる原因となります。

できるだけ毎日同じ時間に起床・就寝するように心がけましょう。

体内時計が整うことで、成長ホルモンの分泌も正常になり、髪の成長を促進する効果も期待できます。

寝室の環境を整える

快適な睡眠を得るためには、寝室の環境を整えることも重要です。

寝る際の温度は18~20℃、湿度は40~60%が理想的とされています。

また、光も睡眠に影響を与えるため、遮光カーテンなどを利用して、できるだけ暗い環境を作るようにしましょう。

静かで落ち着ける空間を作ることも大切です。

快適な寝室の環境について、まとめると以下の通りです。

環境要素理想的な状態対策
温度18~20℃エアコン、暖房、加湿器などを利用して調整
湿度40~60%加湿器、除湿器などを利用して調整
暗い遮光カーテン、アイマスクなどを利用
騒音静か耳栓、防音カーテンなどを利用

入浴は寝る1〜2時間前に済ませる

入浴は、寝る直前ではなく、1~2時間前に済ませるのがおすすめです。

入浴によって一時的に体温が上昇し、その後、体温が下がることで眠気が促されます。

熱すぎるお湯は交感神経を刺激してしまうため、38~40℃程度のぬるめのお湯にゆっくりと浸かるのが効果的です。

就寝前のカフェイン・アルコールを控える

カフェインやアルコールは、睡眠の質を下げる原因の1つです。

カフェインには覚醒作用があるため、寝つきを悪くしてしまう可能性があります。

また、アルコールは一時的に眠気を誘いますが、睡眠中にアルコールの代謝が進むと、逆に覚醒を促してしまうため、結果的に睡眠の質を低下させます。

寝る前には、カフェインやアルコールを含む飲み物を避けるようにしましょう。

ストレッチや軽い運動を行う

軽いストレッチや運動は、心身の緊張をほぐし、リラックス効果を高めます。

ただし、激しい運動をすると、交感神経が刺激されて逆に寝つきが悪くなることがあります。

ヨガやストレッチなど、リラックス効果の高い運動がおすすめです。

体にフィットした枕を使う

枕は、睡眠の質を左右する重要な要素の一つです。

高すぎる枕や低すぎる枕は、首や肩に負担をかけ、睡眠を妨げる原因となります。

自分の体型や寝姿勢に合った枕を選び、首や肩がリラックスできる状態を保つようにしましょう。

睡眠以外も要注意!抜け毛の原因となるNG習慣

睡眠以外も要注意!抜け毛の原因となるNG習慣

ここまで、睡眠を中心に対策をご紹介してきましたが、抜け毛の原因は、もちろん睡眠不足だけではありません。

日々の生活習慣の中に、見過ごしがちな落とし穴が潜んでいます。

以下では、睡眠以外にも注意すべき抜け毛の原因について解説します。

睡眠食生活の乱れ:偏った栄養バランスは髪の毛の敵

髪の毛は、タンパク質、ビタミン、ミネラルなど、さまざまな栄養素からできています。

偏った食生活は、髪の毛に必要な栄養素の不足を招くため、髪の成長を妨げ、抜け毛を進行させます。

特に、以下の栄養素は髪の健康に重要です。

栄養素効果多く含む食品
タンパク質髪の主成分。
不足すると髪が細く、弱くなる。
肉、魚、卵、大豆製品
亜鉛髪の成長を促進。
不足すると抜け毛や白髪の原因になる。
牡蠣、牛肉、レバー、ナッツ類
ビタミンB群頭皮の血行を促進し、髪の成長をサポートする。豚肉、レバー、玄米、きのこ類
鉄分髪の毛に酸素を運搬。
不足すると貧血になり、抜け毛の原因になる。
レバー、赤身肉、ほうれん草、ひじき

できるだけバランスの取れた食事を心がけながら、これらの栄養素を積極的に摂取するようにしましょう。

サプリメントで補うのも一つの手段ですが、サプリメントだけで補おうとせず、まずは日々の食事を見直すことが大切です。

ストレス:血管収縮を招き、頭皮への血流を悪化

ストレスは、自律神経の乱れを引き起こし、血管を収縮させる作用があります。

頭皮の血管が収縮すると、髪の毛に必要な栄養が届きにくくなり、抜け毛の原因となります。

そのため、ストレスを溜め込まないように、自分なりのリラックス方法を見つけることが重要です。

適度な運動、趣味に没頭する時間、十分な睡眠などを心がけましょう。

どうしても改善しない場合は、専門機関への相談も検討しましょう。

なお、以下の記事では抜け毛とストレスの関係について解説しています。

ぜひ参考にしてください。

シャンプーの選び方・洗い方:間違ったケアは頭皮トラブルの原因に

シャンプーは、頭皮の汚れや皮脂を落とすために欠かせないものです。

しかし、選び方や洗い方を間違えると、頭皮トラブルを引き起こし、抜け毛の原因となることがあります。

以下の点に注意して、シャンプーを選び、正しく洗いましょう。

シャンプーの選び方・洗い方詳細
洗浄力の強すぎないシャンプーを選ぶアルコール系シャンプーは洗浄力が強すぎるため、アミノ酸系シャンプーなど、頭皮に優しいものを選びましょう
シャンプー前にブラッシングをする髪の絡まりをほぐし、汚れを浮き上がらせることで、シャンプーの泡立ちを良くし、頭皮への摩擦を軽減できる
ぬるま湯で予洗いをするシャンプー前に、頭皮と髪を十分に濡らすことで、汚れを落としやすくする
指の腹で優しく洗う爪を立ててゴシゴシ洗うのではなく、指の腹で頭皮をマッサージするように優しく洗いましょう
すすぎ残しがないように丁寧に洗い流すシャンプーが頭皮に残ると、炎症やかゆみの原因となる

正しいシャンプーの選び方と洗い方を実践し、健康な頭皮環境を保つことが、抜け毛予防につながります。

なお、以下の記事では、抜け毛対策について解説しています。

本記事で紹介していない抜け毛対策も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

【医師監修】抜け毛対策完全ガイド!原因からすぐできる対策まで徹底解説!

また、抜け毛対策には育毛剤の使用も効果的です。

以下の記事で育毛剤の効果やメリット・デメリットを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

まとめ:良質な睡眠をたっぷりとって、抜け毛改善を目指そう

まとめ:良質な睡眠をたっぷりとって、抜け毛改善を目指そう

睡眠不足は、成長ホルモンの分泌を妨げたり、血行不良を引き起こしたりして、髪の成長を阻害します。

抜け毛が気になる場合は、普段の睡眠を見直し、睡眠の質を高める対処法を実践してみてください。

また、十分な睡眠は、健やかな髪だけでなく、日常生活にもさまざまな好影響があります。

ぜひ、今日から睡眠の質を高める工夫を実践して、抜け毛改善、そして充実した日常生活へとつなげてください。