「最近、急に抜け毛が増えた気がする…」などと、髪の抜け毛に不安を感じていませんか?
実は、男性の半数近くが抜け毛に悩んでいるといった調査結果もあるほど、男性にとって抜け毛は大きな関心事と言えます。
抜け毛が進む原因は、生活習慣からヘアケア、環境の変化など人によって異なり、適切な対策もさまざまです。
本記事では30代~40代の男性向けに、抜け毛の主な原因とおすすめの対策を解説します。また、抜け毛の危険度がわかるセルフチェックリストや、病院受診が必要なケースについても、医師監修のもとでわかりやすく紹介します。
抜け毛の根本的な原因を特定し、自分に合った抜け毛対策を始めましょう。
目次
男性の抜け毛セルフチェックリスト【正常?異常?】
男性の抜け毛は、周期による正常な抜け毛と、セルフケアもしくは専門医の診断がいる異常な抜け毛の2種類に大きく分けられます。
正常な抜け毛 | 異常な抜け毛 |
---|---|
ヘアサイクル(髪の毛の生え替わり周期)で抜けている | ヘアサイクルが乱れて抜けている |
特に、異常な抜け毛は40代、50代と年齢が高くなるほど増える可能性もあり、気付いたタイミングで早めに対処しておくと安心です。
まずは、以下のチェックリストで、抜け毛の状態を自分自身で確認しましょう。
抜け毛の状態 | 正常な状態 | 異常な可能性が高い |
---|---|---|
1日に抜ける髪の毛の本数 | 50本~100本程度 | 100本以上 |
抜け毛の太さ | しっかりと太く、かつ硬さも十分 | 細い柔らかい |
毛根の形 | 全体的に丸みを帯びているゼリー状の組織(毛根しょう)が付着している | 先端がとがっているくびれている毛根がない |
上記チェックリストはあくまでも目安ですが、異常な可能性が高い項目に一つでも当てはまるなら、皮膚科医への相談をおすすめします。
男性によくある抜け毛の原因
男性の抜け毛は、上記のうち複数の原因が重なって引き起こされるケースもあります。ここでは、男性に多く見られる抜け毛の原因を7つ詳しく紹介します。
過度のストレス
過度のストレスは、特にライフステージの変化や仕事のプレッシャーがかかる30代〜40代の男性に多い抜け毛の原因です。
参照:2019年 国民生活基礎調査の概況 Ⅲ 世帯員の健康状況|厚生労働省
過度なストレスによって抜け毛が増える際は、主に血行不良とホルモン・自律神経の乱れが関係しています。
具体的に、ストレスがもたらす髪への影響は以下のとおりです。
ストレスがもたらす抜け毛の原因 | 原因の詳細 | 髪の毛への影響 |
---|---|---|
テロジェンエフルヴィウム(休止期脱毛)の誘発 | ヘアサイクルが短縮する | 一時的に大量の毛髪が抜け落ちる |
コルチゾール(ストレスホルモン)の過剰分泌 | 毛髪の成長に必要なホルモンのバランスを崩す | 毛根の健康が低下し、髪の成長が阻害される |
血行不良 | ストレスが血管を収縮させ、頭皮の血流が悪くなり、毛根の栄養・酸素不足を引き起こす | 毛根に十分な栄養や酸素が届かず、髪の成長が阻害され、抜け毛が増加する |
免疫システムの低下 | 長期間のストレスが免疫機能を低下させ、自己免疫反応を誘発する | 毛包が損傷を受け、抜け毛や円形脱毛症などの発生リスクが高まる |
ストレスが過度にかかり続けることで、一時的に髪の毛が大量に抜けるだけでなく、毛根の再生能力が低下し、薄毛が長期化するリスクもあります。
参考:ストレスで髪の毛が抜けるメカニズムと予防方法|AGAメディカルケアクリニック
生活習慣の乱れ
不規則な生活習慣も、仕事に追われる男性にありがちな抜け毛の原因です。
特に、以下の生活習慣が乱れている場合は抜け毛を促進することがあります。
抜け毛の原因となる生活習慣 | 原因の詳細 | 髪の毛への影響 |
---|---|---|
睡眠不足 | 頭皮の代謝を活性させる成長ホルモンの分泌が減少する | 頭皮環境が悪化し、髪が育ちにくくなる |
運動不足 | 血行不良を引き起こす可能性があり、毛根の栄養不足につながる | 毛根に十分な栄養や酸素が届かず、髪の成長が阻害され、抜け毛が増加する |
不規則な生活習慣は、頭皮の代謝や血行を著しく悪化させ、髪の毛が育ちにくい環境に変えてしまいます。
参考:男性の薄毛・抜け毛の原因は?髪が生える基礎知識とセルフチェック法|髪コト
栄養バランスが偏った食事
栄養バランスが偏った食事も抜け毛を促進する原因の一つです。特に、ジャンクフード中心の食生活や脂っこい食事、塩分・糖質が多い食事は、頭皮や毛髪に必要なタンパク質・ビタミン・亜鉛・鉄分が不足するため要注意です。
具体的に、各栄養素が不足した場合、髪の毛に対して以下のような悪影響を与えます。
栄養素 | 髪の毛における役割 | 髪の毛への影響 |
---|---|---|
アミノ酸(タンパク質) | 髪の主成分であるケラチンの生成に欠かせない | ケラチンの生成が滞り、新しい髪が十分に作られなくなる毛髪の成長が遅れ、細く弱々しい髪になる |
亜鉛 | ケラチンの生成をサポートする | ケラチンが生成できず、新たな髪が生えにくくなる |
鉄分 | 髪の成長に必要な酸素や栄養素を毛根に届けるために、血液中で運搬する | 毛根への酸素・栄養供給が不十分となり、成長途中の髪の抜け毛を促進する |
ビタミン | 他の栄養素の働きをサポートする | 亜鉛の効果が発揮されず、頭皮の環境が悪化し、髪の健康が損なわれる |
偏った食事は、毛髪の成長に必要な栄養素の供給と生成を妨げ、抜け毛を招きます。
参考:薄毛の原因から考える対策 – ホルモンバランスと生活習慣の影響|AGAメディカルクリニック
正しくないヘアケア
正しくないヘアケアは、抜け毛を促進する大きな要因です。
特に、以下のヘアケアを継続すると、頭皮や毛髪にダメージを与え、抜け毛や薄毛のリスクを高めるため注意が必要です。
不適切なヘアケア | 詳細内容 | 髪の毛への影響 |
---|---|---|
刺激が強いシャンプー・整髪剤の使用 | 洗浄力が強すぎるシャンプーやエタノールを含む整髪剤は、頭皮の皮脂を過剰に除去する | 頭皮のバリア機能が低下し、乾燥や炎症を引き起こすことで、毛根がダメージを受け、抜け毛が増加する |
不適切なドライヤーの使い方 | 頭皮に近づけすぎる、同じ場所に長時間温風を当てると、頭皮の水分が奪われ、熱ダメージが蓄積される | 頭皮の乾燥や炎症を誘発し、血行不良や毛根の栄養不足につながり、抜け毛を促進する |
濡れた髪の放置 | 雑菌が繁殖しやすくなり、フケやかゆみ、細菌感染のリスクが高まる | 頭皮の炎症や環境悪化により、毛髪が弱り、抜け毛が進行しやすくなる |
習慣化されているがゆえに普段あまり意識しないシャンプー選びや乾かし方など、基本的なヘアケアを見直すことで、抜け毛予防をより効果的に行えます。
ヘアスタイルやカラーリング剤の影響
ヘアスタイルやカラーリング剤によっては、頭皮や毛根に負担をかけ、抜け毛の原因となることがあります。
具体的に、抜け毛を防ぐうえで注意が必要なヘアスタイル・カラーリングは、以下のとおりです。
抜け毛の原因となるヘア | 具体的な例 | 髪の毛への影響 |
---|---|---|
タイトなヘアスタイル | ツーブロックオールバック | 長時間続けると毛根に負担がかかり、牽引性脱毛症の原因となる毛根がダメージを受けると髪が細くなり、生えにくくなる可能性がある |
カラーリング | 白髪染めブリーチ | 化学薬品が頭皮や毛根にダメージを与え、抜け毛を促進する |
ただし、ヘアスタイルやカラーリング剤の影響による抜け毛は、髪のスタイルを変えると落ち着く傾向にあります。
参考:抜け毛が増える7つの原因とは?対策・予防法や見分け方を紹介|みんなのホルモン研究所
頭皮の老化
年を重ねるとともに頭皮環境も変化します。
具体的には、年齢とともに毛包幹細胞と呼ばれる皮膚組織が徐々に小さくなる現象である、毛包のミニチュア化が進行します。毛包とは、髪の毛の再生に重要な細胞を供給する組織です。
毛包のミニチュア化の始まりは、ヘアサイクルごとに分裂する毛包幹細胞が、自己複製能力を失うことです。自己複製ができなくなると、毛を作る細胞を生成する代わりにフケとして皮膚表面から脱落していきます。
そして、毛包幹細胞の集合体が徐々に縮小するにつれ、毛包自体もミニチュア化し、新しく生えてくる髪の毛が細くなり抜けやすくなります。
したがって、頭皮の老化に伴う脱毛の進行を抑えるためには、30代・40代のうちから毛包のミニチュア化の対策が重要です。
参考:「歳をとると毛が薄くなる仕組みを解明」【西村栄美 教授】|SCIENCE TOKYO
季節の変わり目
季節の変わり目では急激な寒暖差の変化により、自律神経やホルモンのバランスが乱れ、頭皮の血行不良や毛周期の乱れにつながり、抜け毛が増加することがあります。
特に、以下の季節は抜け毛が増える時期です。
春 | 秋 |
---|---|
転職や異動など環境変化に伴うストレス急激な寒暖差による自律神経の乱れ | 夏の紫外線や直射日光により、蓄積した頭皮ダメージ皮脂の分泌量低下に伴う頭皮の乾燥急激な寒暖差による自律神経の乱れ |
春と秋は、通常のヘアサイクルにおいても抜け毛が多くなる傾向にあります。
しかし、季節の変わり目を過ぎ、2カ月以上1日に200本近く抜ける現象が続く場合は要注意です。上記の自律神経の乱れや頭皮環境の悪化などにより、抜け毛が促進されている可能性も懸念されます。
なお、30代の男性向けの抜け毛については、「【医師監修】30代男性必見!抜け毛の原因と対策、セルフチェックの方法を紹介」で詳しく解説していますのでご覧ください。
参考:抜け毛が増える季節があるって本当?人間の換毛期や回復までの期間を解説|AGAメディカルクリニック
男性の抜け毛で病院受診が必要なケースとは?
抜け毛がひどい場合や続く場合など、脱毛を伴う疾患の可能性が考えられる場合は、医療機関への受診が必要です。
医師の診断が必要なケースは、主に以下の3つが挙げられます。
脱毛の種類 | 概要 |
---|---|
男性型脱毛症(AGA) | ・成人男性特有の脱毛症 ・男性ホルモンが毛根に悪影響を与え、頭頂部や前頭部の徐々に進行 |
円形脱毛症 | 主に自己免疫疾患や精神的ストレスが原因となり、円形または楕円形の脱毛斑が突然現れる症状 |
びまん性脱毛症 | ・皮脂の異常分泌により頭皮環境が悪化し、頭全体に均一に抜け毛が起こる症状 ・思春期以降、高温多湿の夏に症状が悪化する傾向 |
いずれの場合も、重症化すると治療が難しくなるため、早期発見と適切な治療が重要です。少しでも抜け毛に不安を感じたら、ためらわずに医療機関を受診しましょう。
参考:20代で知るべきAGAのリアルとは?症状、治療、副作用を専門医が完全解説|AGA専門医が教える発毛ブログ
男性の抜け毛におすすめの対策・予防策
抜け毛の原因に合った対策を講じることで、薄毛の進行を遅らせ、健康な髪を維持できます。ここでは、男性の抜け毛に有効とされる5つの対策を詳しく紹介します。
睡眠時間を確保する
生活習慣の見直しとして、まずは睡眠時間の確保から始めましょう。
抜け毛対策の視点で睡眠時間を見直す際は、以下にあるように、睡眠の最低時間と睡眠のトータル時間を意識することが重要です。
睡眠の最低時間 | 睡眠のトータル時間 |
---|---|
最低でも4時間の睡眠時間を確保 | 理想は合計で6時間~7時間程度(年齢別の適正な睡眠時間) |
最低時間とトータル時間が重要な理由は、頭皮の修復に役立つ成長ホルモンが関係しています。
成長ホルモンの分泌は睡眠時に多く分泌され、入眠してから3時間までがピークです。
そのため、まとまった睡眠時間をとれない男性でも、できる限り4時間以上確保することをおすすめします。
また、睡眠時間は長すぎると身体の代謝が低下するため、年齢に合った適正な睡眠時間内に収めましょう。厚生労働省によると、30代で7時間程度、40代で6.5時間程度が適正とされています。
栄養バランスを意識した食事に変える
食生活の改善においては、栄養バランスを意識した食事に変えるのがおすすめです。
具体的には、以下の食べ物をバランス良く食べましょう。
タンパク質 | ビタミンB群、ビタミンE | 亜鉛 | 鉄分 |
---|---|---|---|
肉類魚介類大豆製品卵 | 緑黄色野菜果物(柑橘類など)牛乳ピーナッツアーモンド | 豚・牛・鶏レバー卵チーズ | 豚・鶏レバー砂肝海藻類 |
特に、髪の毛の主な成分であるタンパク質、そして成長を促すビタミンを十分に摂取することがポイントです。
日ごろの食事を見直せば、先述した睡眠時間の改善との相乗効果で、頭皮のコンディションが安定し、育毛を促進できます。
参考:【薄毛対策】男性におすすめの髪の抜け毛予防&防止対策を解説|髪コト
ヘアケアを見直す
抜け毛対策をする際に、意外と盲点になるのがヘアケアの改善です。
特に、改善を意識すると良いヘアケアの方法は以下の4つです。
ヘアケアの改善項目 | おすすめの改善策 | 頭皮・髪に期待される効果 |
---|---|---|
シャンプーの方法 | 頭皮を優しくマッサージするように洗い、丁寧にすすぐ | 頭皮への負担が軽減され、抜け毛の悪化を防止 |
ドライヤーの使い方 | 頭皮から十分な距離(約20cm以上)を保ち、同じ場所に長時間当てない | 頭皮の乾燥や熱ダメージを軽減し、血行を促進 |
ブラッシング | 優しく丁寧にする | 頭皮や毛髪への過度な刺激を防ぎ、抜け毛リスクを軽減 |
ヘアケア製品の選択 | 頭皮に優しい成分配合の製品を選ぶ | 頭皮のバリア機能を保ち、健やかな髪の成長をサポート |
毎日行うヘアケア方法を見直すことで、頭皮へのダメージを減らすことができ、抜け毛予防につながります。
頭皮を適度にマッサージする
頭皮を適度にマッサージすれば、頭皮の血行が促進され、毛根に栄養が供給されます。
セルフケアとして行う場合、続けることを重視すれば以下のような簡単なもので十分です。
- 指の腹で頭皮を動かすようにもみほぐす
- 手のひらで頭部全体を押す・離すを繰り返す
- 頭皮を指先で軽くたたきほぐす
上記のうちすべてではなく、気持ち良く感じられるマッサージのみでも問題ありません。毎日5分程度で構わないので、抜け毛が気になり始めたら習慣にしましょう。
皮膚科医に相談する
ヘアケアの改善など先述した自分でできる対策を行っても抜け毛が改善しない場合、または抜け毛が急激に増えた場合は、皮膚科医への相談をおすすめします。AGAなどの重大な疾患の可能性が懸念されるからです。専門医による診察と適切な治療を受けることで、抜け毛の原因を特定でき、より効果的な治療を開始できます。
参考:抜け毛を防ぐ生活上の注意点はあるでしょうか?|皮膚科Q&A
まとめ:男性の抜け毛原因を理解し、適切な対策を実践しよう
男性に多い抜け毛の原因と有効とされる対策は、以下のとおりです。
原因 | 対策 |
---|---|
過度のストレス生活習慣の乱れ栄養バランスが偏った食事正しくないヘアケアヘアスタイルやカラーリング剤の影響頭皮の老化季節の変わり目 | 睡眠時間を確保する栄養バランスを意識した食事に変えるヘアケアを見直す頭皮を適度にマッサージする皮膚科医に相談する |
抜け毛は原因を特定し、適切に対策することで、若々しい健康な髪を取り戻せます。抜け毛でお悩みの方は、生活習慣やヘアケアの見直しなど、根本的な原因に効果が見込める対策を始めてみましょう。