育毛剤と養毛剤の違いとは?効果・成分などを解説

薄毛や抜け毛が気になり始めると、育毛剤や養毛剤といったヘアケア製品が気になるものです。

しかし、名前が似ているこれらの製品は、効果・成分 ・使用する目的がそれぞれ異なります。

そのため、自分の目的に合わせて、適切な商品を選べるようにしておかなければなりません。

本記事では、育毛剤と養毛剤の成分・効果・副作用の違いから、選び方まで、わかりやすくご紹介します。

適切なヘアケアを実現するためにも、ぜひ参考にしてください。

育毛剤・養毛剤の違いを知る重要性

薄毛や抜け毛の悩みを抱える多くの方が、育毛剤や養毛剤に興味を持っていますが、これらの製品は名前が似ているため、混同されがちです。

育毛剤は、毛母細胞を活性化させ、今ある髪の毛を太く丈夫にしたり、抜け毛を予防したりすることを目的としています。

一方、養毛剤は、頭皮環境を整え、髪の成長の手助けをするのが目的です。

どちらも髪の健康をサポートする製品ですが、アプローチが異なります。

育毛剤と養毛剤の違いを理解することは、効果的なヘアケアの第一歩です。

自分の髪と頭皮の状態を正しく理解し、適切な製品を選ぶことで、薄毛や抜け毛の悩みを改善していきましょう。

育毛剤とは

まず、育毛剤は、薄毛や抜け毛を予防し、髪の毛の成長を促進することを目的とした医薬部外品です。

頭皮環境を整え、毛根に栄養を与えることで、健康な髪の育成をサポートします。

このセクションでは、育毛剤の成分・使用する目的・使用頻度・育毛剤がおすすめの方について解説します。

育毛剤の成分

育毛剤には、さまざまな有効成分が配合されています。

いずれも健やかな髪の成長を助けるもので、代表的な成分としては、以下のようなものがあります。

成分期待される効果
センブリエキス血行促進・毛根活性化
グリチルリチン酸ジカリウム抗炎症作用・頭皮環境改善
ニンジンエキス(オタネニンジン根エキス)血行促進・細胞賦活
塩化カルプロニウム血管拡張・血行促進

これらの成分は、頭皮の血行を促進したり、炎症を抑えたり、毛根に栄養を与えたりすることで、育毛効果を発揮します。

育毛剤を選ぶ際には、これらの成分が配合されているかを確認しましょう。

なお、育毛剤は主に天然由来の成分から作られていることが多いため、使用による頭皮トラブルのリスクが低いのが特徴です。

最近の育毛剤は多様化しており、男性向け・女性向けのものなど、ニーズに合わせたさまざまな製品が販売されるようになりました。

育毛・養毛に適した成分はもちろん、肌質や体質に合わせてさまざまな製品を選べるので、自分に合ったものを探して選ぶようにしましょう。

育毛剤を使用する目的

育毛剤を使用する主な目的は、以下のとおりです。

  • 薄毛・抜け毛の予防
  • ヘアサイクルの正常化
  • 頭皮環境の改善
  • 髪の毛の成長促進

これらの効果によって、健康な髪を育て、薄毛や抜け毛を予防することを目的としています。

なお育毛剤は、抜け毛の予防・頭髪の現状維持を目的とした医薬部外品であると定義されています。

医薬品として扱われているものは発毛剤と呼ばれ、発毛するよう直接細胞に働きかけるものです。

育毛剤はあくまで、抜け毛や薄毛を予防したり、頭皮の健康状態を良くしたりするために用いられています。

発毛剤のように、髪そのものを生やす効果はありませんので、注意しましょう。

育毛剤の使用頻度

育毛剤は、製品によって推奨される使用頻度が異なります。

一般的には、1日に1~2回の使用が推奨されていることが多いです。

育毛剤の効果を最大限に引き出すためには、製品に記載されている使用方法をよく読み、指示された使用頻度を守ることが重要です。

メーカーによっては、朝晩2回の使用を推奨している場合もあります。

また、育毛剤を使用するタイミングは、風呂上がりが最適です。

風呂上がりは頭皮が清潔なうえに、血行が促進している状態であるため、育毛剤の効果を最大限に活かせます。

1日2回使用するタイプの場合は、風呂上がりのほか、スタイリングの前に使用するのがおすすめです。

軽く洗髪したうえで利用すれば、頭皮の状態をより良くできるだけでなく、紫外線などのダメージから頭皮を守れます。

決められた用法で使ったにも関わらず、頭皮にかゆみや炎症が出てしまった場合は、使用を一時的に中止して様子を見るようにしましょう。

なかなか回復しない場合や、使用前に不安が残る場合は、専門医に相談することをおすすめします。

育毛剤がおすすめの人

育毛剤は、以下のような人におすすめです。

  • 最近、抜け毛が増えてきたと感じる人
  • 髪の毛が細くなってきたと感じる人
  • 頭皮が乾燥しやすい人
  • 将来の薄毛が心配な人

これらの症状に悩んでいる方は、育毛剤を使用することで、頭皮環境を改善し、健康な髪の育成を促進できます。

養毛剤はあくまで頭皮環境を整える程度の効果ですが、育毛剤は抜け毛や薄毛に対して、より直接的な効果が期待できます。

また、「AGA(男性型脱毛症)が気になるけれど、クリニックでの治療はまだ抵抗がある」と感じる方にもおすすめです。

養毛剤とは

養毛剤は、頭皮環境を整えることを目的としたヘアケア製品です。

化粧品に分類されるため、育毛剤よりもさらに副作用が少なく、スキンケア感覚で健康な髪を育てるためのサポートができます。

このセクションでは、養毛剤の成分や使用する目的・使用頻度・おすすめの人について解説します。

養毛剤の成分

養毛剤には、頭皮の血行を促進したり、毛根に栄養を与えたりする成分が配合されています。

主な成分は以下のとおりです。

成分期待できる効果
血行促進成分
(例:センブリエキス・トウガラシチンキ・メントール)
頭皮の血行を促進し、毛根への栄養供給をサポートします。
抗炎症成分
(例:グリチルリチン酸ジカリウム・アラントイン)
頭皮の炎症を抑え、健やかな頭皮環境を保ちます。
保湿成分
(例:ヒアルロン酸・アロエエキス)
頭皮の乾燥を防ぎ、潤いを与えます。
栄養補給成分
(例:アミノ酸・ビタミン)
毛根に栄養を与え、髪の成長をサポートします。

養毛剤は、天然由来成分を主成分としているものが多く、副作用のリスクが低いとされています。

養毛剤を使用する目的

養毛剤の主な使用目的は、以下のとおりです。

目的詳細
抜け毛予防頭皮環境を整え、抜け毛を予防します。
育毛環境の整備健康な髪が育ちやすい頭皮環境を作ります。
髪のボリュームアップ髪にハリやコシを与え、ボリューム感をアップさせます。
頭皮の健康維持頭皮の乾燥や炎症を防ぎ、健康な状態を保ちます。

育毛剤が「攻め」のヘアケアであるのに対し、養毛剤は「守り」のヘアケアと捉えられます。

髪を直接育てるよりも、健康的な髪が育ちやすい頭皮環境を実現することが養毛剤の効果です。

養毛剤の使用頻度

養毛剤は、頭皮環境を整え、健康な髪の成長をサポートすることを目的としています。

そのため、育毛剤とは異なり、一般的には毎日継続して使用することが推奨されています。

ただし、製品によって推奨される使用頻度が異なる場合があるため、必ず製品に記載されている使用方法を確認しましょう。

養毛剤は、頭皮に直接塗布するものが多いため、清潔な頭皮に使用することが大切です。

そのため、育毛剤と同様に養毛剤も風呂上りに使用するのがおすすめです。

洗髪後など、頭皮が清潔な状態で使用すると、より高い効果を期待できます。

また、養毛剤を塗布する際には、頭皮をマッサージするようになじませると、血行促進効果も期待できます。

なお、朝や就寝前も養毛剤を使用するうえで適切なタイミングです。

養毛剤がおすすめの人

養毛剤は、以下のような方におすすめです。

  • 抜け毛が気になり始めた人
  • 髪のボリュームが減ってきた人
  • 頭皮の乾燥やかゆみが気になる人
  • 育毛剤の効果を高めたい人

養毛剤は、今ある髪を大切に育てたい、頭皮環境を整えたい方に適しています。

特に抜け毛の初期症状が発生している方や、髪のハリやコシが弱くなってきた感じる方にとって、養毛剤はヘアケアとして有用です。

ただし、抜け毛や薄毛がある程度進行している状態だと、養毛剤で症状を抑えることは困難です。

あくまで養毛剤は化粧品であり、医学的な効果は期待できないからです。

抜け毛や薄毛を根本的に治療したいなら、医師に相談し、適切な育毛剤や発毛剤を使用するようにしましょう。

発毛剤との違い

育毛剤と養毛剤と並んで、発毛剤も混同されがちなものです。

発毛剤は、育毛剤や養毛剤とは異なり、毛を生やす効果が正式に認められている医薬品です。

以下のグラフで、分類をチェックしてみましょう。

 育毛剤養毛剤発毛剤
分類医薬部外品・化粧品医薬部外品・化粧品医薬品
目的育毛促進・脱毛予防頭皮や毛髪の保護・発毛環境の整備発毛促進
効果毛を育てる・脱毛を防ぐ毛を太くする・頭皮環境を整える毛を生やす
有効成分血行促進・抗炎症・栄養補給など保湿・柔軟・血行促進などミノキシジル・フィナステリドなど

発毛剤の主な有効成分は、ミノキシジルやフィナステリドなどです。

ミノキシジルは、血管を拡張し、毛母細胞を活性化することで発毛を促進します。

フィナステリドは、男性型脱毛症(AGA)の原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制することで、抜け毛を防ぎます。

発毛剤は、現在生えている毛を太くするだけでなく、新たに毛を生やす効果が期待できるため、薄毛が進行している方や、積極的に毛を増やしたい方におすすめです。

育毛剤・養毛剤の副作用

育毛剤と養毛剤は、どちらも頭皮や髪の毛のケアを目的とした製品で、それぞれ副作用のリスクもあります。

トラブルを避けるためにも、製品の特性を理解し、正しく使用することが大切です。

育毛剤と養毛剤は、配合されている成分によって、以下のような副作用が現れる可能性があります。

育毛剤で後悔しない!副作用の種類と対処法・予防策を徹底解説
副作用詳細
皮膚のかぶれ・かゆみ育毛剤に含まれる成分が、肌に合わない場合に起こることがあります。
特に、アルコールや香料などの添加物に敏感な方は注意が必要です。
頭皮の発疹・炎症育毛剤の成分が、頭皮の炎症を引き起こすことがあります。
特に、敏感肌の方やアレルギー体質の方は注意が必要です。

これらの副作用は、必ずしも全ての人に現れるわけではありません。

特に養毛剤は、育毛剤に比べて配合されている成分が穏やかなため、副作用のリスクは低いとされています。

ただし、肌質や体質によって副作用が出やすくなる場合があるので、使用前にパッチテストを行うなど、肌との相性を確認することをおすすめします。

使用中に異常を感じた場合は、直ちに使用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。

使用前の段階でも不安がある際は、あらかじめ医師に適切な育毛剤や養毛剤を確認しておくと安心して使用できます。

育毛剤・養毛剤は併用可能?

「どうせ使うなら、育毛剤と養毛剤を併用したら効果がより高いのでは?」と考える方もいるかもしれません。

しかしながら、基本的に併用はおすすめできません。

なぜなら、育毛剤と養毛剤はそれぞれ目的が異なり、単独で使用することを想定して成分が配合されているからです。

複数の製品を併用することで、それぞれの成分が相互作用を起こし、肌トラブルの原因となる可能性があります。

育毛剤と養毛剤は併用せず、どちらか一方を使用するようにしましょう。

もちろん養毛剤だけでなく、複数の育毛剤を併用することも避けましょう。

ただし、何らかの理由でどうしても併用したい場合は、以下の点に注意してください。

  • 必ずそれぞれの製品の用法・用量を守る
  • 少量から試して、肌に異常がないか確認する
  • 異なるメーカーの製品を併用する場合は、特に注意する

もし、併用して肌に異常が現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師に相談してください。

育毛剤と発毛剤についても、併用については注意が必要です。

育毛剤と発毛剤は、作用する部分が異なるため、併用することで相乗効果が期待できる場合もありますが、それだけ副作用のリスクも高まります。

自己判断での併用は避け、事前に必ず医師に相談するようにしましょう。

育毛剤・発毛剤・養毛剤の違いを十分に理解したうえで、最適なヘアケア製品を選ぶことが大切です。

育毛剤・養毛剤を利用する際のポイント

育毛剤や養毛剤は、正しく使うことで効果が期待できます。

本章では、利用するうえでの以下のようなポイントについて解説します。

  • 効果が出るまであせらない
  • 頭皮マッサージを行う
  • 肌に合ったものを選ぶ
  • 用法用量を守る
  • 利用する前に意思に相談する

育毛剤や養毛剤を効果的に利用するためにも、ぜひチェックしてください。

効果が出るまであせらない

育毛剤や養毛剤は、すぐに効果が出るものではありません。

髪の毛のヘアサイクルと呼ばれる周期があり、成長には時間がかかるため、効果を実感するまでにはある程度の期間が必要です。

一般的に、効果を実感するまでには3カ月~半年程度の期間が必要とされています。

すぐに効果を実感できなくても、焦らずに根気強く継続して使用することが大切です。

頭皮マッサージを行う

育毛剤や養毛剤を使用する際には、頭皮マッサージを一緒に行うのがおすすめです。

頭皮マッサージによって血行が促進され、育毛剤や養毛剤の成分が頭皮に浸透しやすくなります。

頭皮マッサージを行う際は、指の腹を使って、頭皮全体を優しく揉みほぐすようにマッサージしましょう。

爪を立てたり、強くこすったりすると、頭皮を傷つけてしまう可能性があるため、注意が必要です。

頭皮が油っぽい原因とは?症状や直し方、シャンプー選びまで完全網羅!

肌に合ったものを選ぶ

育毛剤や養毛剤には、さまざまな成分が含まれています。

なかには、肌に合わない成分が含まれている可能性もあります。

特に育毛剤は、人によっては肌質や体質に合わない成分が含まれている場合があるため、事前の確認が不可欠です。

使用する前に、必ずパッチテストを行い、肌に異常がないか確認しましょう。

もし、使用中に赤み・かゆみ・湿疹などの異常が現れた場合は、ただちに使用を中止し、皮膚科医に相談してください。

用法用量を守る

育毛剤や養毛剤は、用法用量を守って正しく使用することが大切です。

使用方法や使用量を守らないと、効果が得られなかったり、副作用が現れたりする可能性があります。

「以前にも似たような製品を使ったことがあるから」と想像で使用するのではなく、各製品に記載されている使用方法をよく読み、その製品の指示に従って使用しましょう。

また、1日に何度も使用したり、大量に使用したりしても、効果が高まるわけではありません。

育毛剤も養毛剤も、適切な量を使用することが重要です。

利用する前に医師に相談する

育毛剤や養毛剤を使用する前に、医師に相談することをおすすめします。

特に、以下のような方は、必ず医師に相談してください。

  • 皮膚疾患がある方
  • アレルギー体質の方
  • 妊娠中、または授乳中の方
  • 薬を服用中の方

医師に相談することで、自分の頭皮の状態や体質に合った育毛剤や養毛剤を選べます。

また、副作用のリスクを減らすことも可能です。

逆に自己判断で育毛剤や養毛剤を使用すると、健康的な髪を実現するどころか、かえって頭皮環境を悪化させる可能性があります。

安易な判断はせず、専門家のアドバイスを得るように心がけましょう。

まとめ:育毛剤・養毛剤の違いを理解して、最適なヘアケアを始めよう

本記事では育毛剤と養毛剤の違いについて解説しました。

育毛剤は、今ある毛髪の成長を促進し、薄毛や抜け毛を予防することを目的としており、医薬部外品に分類されます。

一方、養毛剤は、頭皮環境を整え、毛髪を健やかに保つことを目的としており、化粧品に分類されます。

育毛剤や養毛剤を使用する際は、自分の頭皮や毛髪の状態・ヘアケアの目的に合わせて、適切な製品を選ぶことが重要です。

薄毛や抜け毛が気になる方は育毛剤、スキンケアのついでに、手軽に髪の健康を保ちたい方は養毛剤を選びましょう。

また、育毛剤と養毛剤を併用する際には、それぞれの製品の特性を理解し、用法用量を守って使用することが大切です。

本記事を参考に、育毛剤と養毛剤の違いを正しく理解し、自分に最適なヘアケアを始めて、健康で豊かな髪を目指しましょう。

ABOUT US
吉川 博昭(よしかわ ひろあき)
吉川博昭
所属:大阪府内複数医療機関 勤務医
専門領域:皮膚科、美容皮膚科 研究分野:痛みに関する診療全般、予防医学
免許・資格:医師免許、日本ペインクリニック学会認定専門医著書、論文所属
経歴:大阪府出身。都内医学部を卒業し、医師免許取得後は麻酔科やペインクリニックを専攻し、複数の医療機関で臨床業務に携わってまいりました。記事の執筆や健康に関連した商品の監修には、平易でわかりやすい表現を用い、「健康を通じたハッピーな生活をお手伝いしたい」を日常的にモットーにしています。