髪の皮脂が多いと髪が抜ける!?皮脂によるトラブルやベタつく原因・効果的な対策など

皮脂は髪の健康を保つのに欠かせない要素である一方、その量が多すぎると髪や頭皮にさまざまなトラブルを引き起こすことがあります。

皮脂によって髪が抜けたり、髪がベタついてしまう原因にもなりかねません。

本記事では、皮脂が多いときに発生するリスクに加え、皮脂の量が増える原因と、効果的な対策について詳しく解説していきます。

皮脂によるトラブルのリスクから髪を守り、美しい髪を保つためにも、ぜひ参考にしてください。

皮脂が多いと髪に悪影響をもたらす

頭皮の皮脂は、髪と頭皮を外部の刺激や乾燥から守る大切な役割を担っています。

しかし、皮脂が過剰に分泌されると、さまざまなトラブルの原因となることがあります。

想定される悪影響には、以下のようなものがあります。

悪影響詳細
毛穴の詰まり過剰な皮脂は、古い角質や汚れと混ざり合い、毛穴を詰まらせる原因となります。
詰まった毛穴は炎症を起こし、ニキビや吹き出物の原因になることもあります。
抜け毛・薄毛のリスク毛穴の詰まりは、髪の成長を妨げ、抜け毛や薄毛のリスクを高めます。
また、皮脂が酸化することで、頭皮に炎症を引き起こし、健康な髪の成長を阻害する可能性もあります。
頭皮のニオイ皮脂は、時間が経つと酸化し、不快なニオイを発生させます。
特に、高温多湿な環境下では、ニオイが強くなりやすい傾向があります。
髪のベタつき皮脂が過剰に分泌されると、髪がベタつき、見た目の印象を損ねるだけでなく、不潔な印象を与えてしまうこともあります。

このように、皮脂が多い状態は、髪と頭皮にとってさまざまな悪影響を及ぼします。

適切な皮脂量を保つためには、日々のヘアケアや生活習慣を見直すことが重要です。

皮脂の多さがもたらす4つのリスク

先述したように、頭皮の皮脂は、多すぎるとさまざまなトラブルの原因となります。

本章では、特に注意すべき以下のリスクについて一つずつ詳しく解説します。

  • 毛穴詰まりによる炎症・ニキビ
  • 抜け毛・薄毛のリスク
  • 頭皮のにおいの悪化
  • 髪のベタつき

それぞれのリスクをよく理解し、適切な対策を講じるようにしましょう。

毛穴詰まりによる炎症・ニキビ

過剰に分泌された皮脂は、古い角質や汚れと混ざり合い、毛穴を詰まらせる原因となります。

毛穴が詰まると、炎症を引き起こし、頭皮ニキビや吹き出物などの肌トラブルにつながります。

炎症が悪化すると、さらにかゆみや痛みを伴い、日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。

特に、アクネ菌は皮脂を栄養源として繁殖するため、皮脂が多いとその分症状を悪化させるリスクも高くなります。

頭皮ニキビは、放置すると慢性化しやすく、頭皮環境をどんどん悪化させるため、早めの対策が重要です。

また、過剰に分泌された皮脂は、マラセチアと呼ばれるカビが発生する要因にもなります。

マラセチアの増殖を放置すると、最悪の場合大量のフケが発生したり、強いかゆみが発生する脂漏性皮膚炎になることもあります。

そのため、皮脂が多いと感じた段階で適切な対策を講じましょう。

抜け毛・薄毛のリスク

毛穴の詰まりや炎症は、健康な髪の成長を妨げます。

毛穴が詰まった状態では、髪の毛が十分に成長できず、細く弱々しい髪の毛になったり、抜け毛が増加したりする可能性があります。

また、炎症が毛根にまで及ぶと、毛母細胞の機能が低下し、新しい髪の毛が生えにくくなる事態になりかねません。

皮脂の詰まりが慢性的に続くと、毛根周辺の組織が萎縮して髪が弱り、結果的に抜け毛のリスクも高まります。

頭皮のにおいの悪化

過剰に分泌された皮脂は、頭皮のにおいを悪化させる原因です。

皮脂は、時間が経つと酸化し、不快なにおいを発生させます。

特に、過剰に分泌された皮脂は、頭皮に長時間留まりやすく、においの原因となる細菌の繁殖を促進します。

頭皮のにおいは、自分自身だけでなく、周囲の人にも不快感を与えてしまう可能性があります。

特に、夏場や運動後など、汗をかきやすい状況では、においがより強く感じられやすくなるため、日ごろから適切なケアを行い、頭皮を清潔に保つことが大切です。

髪のベタつき

髪のベタつきも、皮脂によって引き起こされます。

なかでも男性は過剰分泌された皮脂によって髪がベタつきやすく、皮脂の分泌量が多い20~30代は特に注意が必要です。

髪のベタつきは不衛生な印象を与えるだけでなく、髪のボリュームが減ったように見えたり、髪がセットしにくくなったりする原因になります。

頭皮が脂っぽくなる5つの原因

頭皮の皮脂バランスが崩れ、脂っぽくなってしまうのには、以下のような原因が考えられます。

  • 間違った洗髪
  • 乱れた食生活
  • 睡眠不足やストレス
  • ホルモンバランスの乱れ
  • 乾燥

本章では、それぞれの原因について詳しく解説していきます。

間違った洗髪

「毎日シャンプーをしているのに、なぜか頭皮がベタつく」と感じるなら、洗髪方法が間違っているのかもしれません。

熱すぎるお湯で洗ったり、シャンプーが頭皮に残っていたりすると、必要な皮脂まで洗い流してしまい、乾燥から皮脂が過剰に分泌されることがあります。

また、洗浄力の強すぎるシャンプーを使用しても同じような結果を招く可能性があるので注意しましょう。

だからと言って、十分でない洗髪も、余分な皮脂が残る原因です。

適切な洗髪ができていないと、シャンプーをしてもうまく泡が立たないような状態になります。

余分な皮脂をしっかり落とすためには、シャンプー前にブラッシングや予洗いを丁寧に行い、ホコリや汚れをあらかじめ取っておくのがおすすめです。

乱れた食生活

食生活は、頭皮の皮脂分泌に大きく影響します。

脂っこい食事や糖分の多い食事は、皮脂の分泌を促進する可能性があります。

特に、動物性脂肪の摂取が多いと、皮脂の主成分である中性脂肪が増加し、頭皮が脂っぽくなりやすくなるので、注意が必要です。

また、ビタミンB群の不足も皮脂の過剰分泌を招く一因となるため、バランスの取れた食事を心がけましょう。

極端なダイエットも良くありません。

無理なダイエットを続けていると、栄養の不足によって、頭皮や髪の状態は悪化していきます。

その結果、体が頭皮環境を守ろうと過剰に皮脂を分泌するため、頭皮や髪のベタつきがひどくなります。

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ホルモンバランスの乱れ

ホルモンバランス、特に男性ホルモンと女性ホルモンのバランスは、皮脂の分泌量に大きく関わっています。

男性ホルモンには皮脂腺を刺激し、皮脂の分泌を促進する働きがあるため、男性ホルモンが優位になると頭皮が脂っぽくなりやすいです。

女性の場合でも、生理周期・妊娠・更年期など、ホルモンバランスが大きく変動する時期には、皮脂の分泌量も変化しやすくなるので注意しましょう。

睡眠不足やストレス

睡眠不足やストレスは、自律神経のバランスを乱し、ホルモンバランスにも悪影響を及ぼすものです。

自律神経の乱れは、皮脂腺の働きを活発化させ、皮脂の過剰な分泌を促します。

また、ストレスによって男性ホルモンの一種であるテストステロンが増加すると、皮脂腺が刺激され、皮脂の分泌量も増えます。

乾燥

頭皮が乾燥しているとバリア機能が低下し、外部刺激から頭皮を守ろうと皮脂が過剰に分泌されます。

頭皮の乾燥は紫外線・乾燥した空気・間違ったヘアケアなどが主な原因です。

ベタつきやかゆみなどのトラブルを引き起こすことがありますので、注意しましょう。

髪を皮脂トラブルから守る8つの対策

こういった頭皮の皮脂トラブルは、日々のケアを見直すことで効果的に対策できます。

本章では、今日から実践できる以下の対策をご紹介します。

  • 使用するシャンプーを見直す
  • 正しい方法で洗髪する
  • 食生活を改善する
  • 質の良い睡眠をとる
  • ストレスケアを行う
  • 紫外線対策を徹底する
  • 頭皮マッサージを行う
  • 専門医に相談する

それぞれの対策について具体的に解説するので、ぜひ実践してみてください。

使用するシャンプーを見直す

シャンプーは、頭皮の皮脂を洗い流すための重要なアイテムです。

しかし、洗浄力の強すぎるシャンプーは、必要な皮脂まで洗い流してしまい、乾燥による皮脂の過剰分泌を招くことがあります。

以下の表を参考に、アミノ酸系シャンプーなど、頭皮に優しい成分配合のものを選びましょう。

シャンプーの種類特徴おすすめの頭皮タイプ
アミノ酸系シャンプー低刺激で頭皮に優しい乾燥肌・敏感肌
石鹸系シャンプー洗浄力が高めオイリー肌
スカルプシャンプー頭皮環境を整える成分配合すべてのタイプ

正しい方法で洗髪する

シャンプーのやり方一つで、頭皮への負担は大きく変わります。

以下のポイントを意識して、正しい洗髪を心がけましょう。

  • シャンプー前にブラッシングで髪の絡まりをほぐし、汚れを浮き上がらせる
  • ぬるま湯で予洗いし、頭皮の汚れを落とす
  • シャンプーは泡立ててから、指の腹で頭皮を優しくマッサージするように洗う
  • すすぎ残しがないように、十分に洗い流す

上記に加え、お湯の温度にも配慮するのもポイントです。

お湯は熱すぎると頭皮の状態を悪化させますが、逆に冷たすぎると余分な皮脂を落とせなくなります。

洗髪をする際は、36℃~38℃程度のぬるま湯を使いましょう。

また、シャンプー後にはコンディショナーやトリートメントで髪を保湿するのも忘れないようにしましょう。

食生活を改善する

脂っこい食事や甘い物の摂りすぎは、皮脂の過剰分泌を招く原因となります。

バランスの取れた食生活を心がけ、特にビタミンB群・食物繊維・ビタミンCなどを積極的に摂取しましょう。

これらの栄養素は、皮脂の分泌をコントロールし、頭皮環境を整える効果が期待できます。

もし日々の食生活で必要な栄養素を摂取するのが難しいなら、サプリメントをうまく活用するのもおすすめです。

質の良い睡眠をとる

睡眠不足は、自律神経やホルモンバランスの乱れを引き起こし、皮脂の過剰分泌につながることがあります。

毎日十分な睡眠時間を確保し、質の良い睡眠を心がけましょう。

就寝前にリラックスできる環境を整えたり、カフェインの摂取を控えたりするのも効果的です。

加えて、寝る前の携帯電話のチェックやテレビの視聴はなるべく避けましょう。

寝る前に電子機器を見ていると脳が興奮状態になり、睡眠の質を低下させる恐れがあります。

ストレスケアを行う

ストレスもまた、ホルモンバランスを乱す要因の一つです。

自分なりのストレス解消法を見つけ、溜め込まないようにしましょう。

適度な運動や趣味の時間を持つなど、心身ともにリフレッシュできる時間を取り入れることが大切です。

たとえば、有酸素運動はストレス対策において非常に効果的です。

有酸素運動を行うとストレスが解消されるだけでなく、皮脂の元になる中性脂肪の消費にもつながります。

紫外線対策を徹底する

頭皮も肌と同じように、紫外線によるダメージを受けるため、紫外線対策は不可欠です。

紫外線は頭皮の乾燥を招き、皮脂の過剰分泌を促す原因となります。

帽子や日傘を使用したり、UVカット効果のあるヘアスプレーを使用するなど、紫外線対策を徹底しましょう。

特に夏のような高温多湿の季節は皮脂の過剰分泌を招くリスクが高いため、外出する際はよりいっそう注意してください。

頭皮マッサージを行う

頭皮マッサージは、血行を促進し、頭皮環境を整える効果があります。

シャンプー時や、育毛剤を使用する際に行うのがおすすめです。

指の腹で優しく頭皮全体をマッサージすると血行が促進され、リラックス効果も期待できます。

専門医に相談する

どれだけ対策を講じても皮脂の過剰分泌が収まらない場合は、無理に自分で解決しようとせず、専門医に相談しましょう。

セルフケアで解決できない状態だと、より深刻な頭皮のトラブルが発生している可能性があります。

また、抜け毛が発生しているような状態だと、セルフケアだけで改善することは困難です。

専門医に相談し、適切な治療を受けましょう。

まとめ:皮脂の量を適切に保って美しい髪を守ろう

本記事では、髪の毛の皮脂が多いことで起こるトラブルに加え、皮脂が多くなる原因や具体的な対策について解説しました。

皮脂の過剰な分泌は、毛穴の詰まり・炎症・抜け毛・においといったさまざまな問題を引き起こす可能性があります。

しかし、適切なシャンプー選び・正しい洗髪方法・バランスの取れた食生活などの対策を講じることで、皮脂の量を適切にコントロールし、これらのトラブルを未然に防げます。

美しい髪を保つためには、日々のケアが不可欠です。

本記事でご紹介した情報を参考に、自分のライフスタイルに合わせた対策を取り入れ、健やかな頭皮環境を育んでいきましょう。

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五藤 良将(ごとう よしまさ)
五藤 良将
経歴:千葉県立東葛飾高校卒、防衛医科大学校医学部卒。その後に自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどの勤務を経て2019年9月に継承開業に至る。 研究分野:糖尿病、AGEs、動脈硬化、 免許・資格: • 医師免許、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医、日本医師会産業医、日本美容内科学会評議員著書、論文所属 • 医療法人社団五良会 竹内内科小児科医院 院長  • 医療法人社団五良会 理事長 専門領域: • 医療 > 外科・内科以外の診療科 > 皮膚科 • 医療 > 外科・内科以外の診療科 > 美容皮膚科