「夏の日差しを浴びた後、なんだか頭皮がヒリヒリする」
「分け目が赤くなって、フケやかゆみが気になる」
それはもしかすると、頭皮が紫外線によって日焼けしているサインかもしれません。
顔や腕の紫外線対策はしていても、頭皮は意外と見落としがちです。
しかし、頭皮は顔など他部位と比べて直接紫外線が当たりやすい箇所です。
紫外線によるダメージは、一時的な炎症だけでなく、将来の薄毛や白髪といった深刻な悩みにつながる可能性もあるので、早急な対策が必要です。
本記事では、紫外線が頭皮に与える具体的な影響から、今日からできる正しい予防策、そして日焼けしてしまった後の緊急アフターケアまでを詳しく解説します。
正しい知識を身につけ、将来の髪の悩みを予防し、健やかな頭皮環境を守りましょう。
目次
紫外線が頭皮に与えるダメージとは?

紫外線と聞くと、肌のシミやシワを連想する方が多いのではないでしょうか。
しかし、頭皮も顔の皮膚とつながっているため、同じように紫外線の影響を強く受けています。
そのダメージは、すぐに現れる短期的なものから、時間をかけて深刻化する長期的なものまでさまざまです。
特に注意したいのが、将来の髪の健康を左右する「光老化」です。
まずは、紫外線が頭皮に与える2つの代表的な影響を確認して、対策の必要性を理解しましょう。
- 赤み・かゆみ・フケ(短期的な急性症状)
- 薄毛・白髪の引き金(長期的な光老化)
【影響1】赤み・かゆみ・フケ(短期的な急性症状)
紫外線を浴びた直後から数時間後に現れるのが、赤み、ヒリヒリとした痛み、かゆみといった症状です。
これはいわゆる「日焼け」の状態で、頭皮の皮膚が軽いやけどを起こしているのと同じ症状です。
紫外線は頭皮の水分を奪い、乾燥を引き起こします。
乾燥した頭皮は、外部からの刺激を守るバリア機能が低下してしまいます。
その結果、フケやかゆみが発生しやすくなるのです。
普段使っているシャンプーがしみたり、少しの刺激で炎症を起こしたりするのも、このバリア機能の低下が原因です。
赤み・かゆみ・フケなどは短期的な急性症状で、紫外線を浴びて比較的すぐに発症します。
特に、紫外線が強い夏場に発症するケースが多く、頭皮トラブルに悩まされる方も少なくありません。
【影響2】薄毛・白髪の引き金(長期的な光老化)
本当に怖いのは、紫外線のダメージが蓄積することによって引き起こされる「光老化」です。
紫外線には、波長の長い「UVA」と、波長の短い「UVB」の2種類があります。
UVAは肌の奥深く、真皮層にまで到達し、髪の毛を作り出す毛母細胞や、髪の色素を作るメラノサイトにダメージを与えます。
UVAのダメージによってこれらの細胞が正常に働かなくなると、健康な髪が育ちにくくなり、ヘアサイクルが乱れてしまいます。
その結果、抜け毛や薄毛が進行したり、メラニン色素が作られなくなり白髪が増える原因になるのです。
気づかないうちに進行する光老化は、将来の髪年齢を大きく左右します。
いつまでも若々しくいたい方は、事前にしっかりと紫外線対策を実施して、頭皮へのダメージを軽減しましょう。
頭皮の紫外線対策【予防編】

将来の髪の健康を守るためには、日々の予防が何よりも大切です。
「面倒くさい」と思うかもしれませんが、日々の習慣にしてしまえば、そこまで難しいことではありません。
今日からでも実践できる頭皮の紫外線対策には、以下のようなものがあります。
- 帽子や日傘で紫外線を防ぐ
- 頭皮・髪用UVスプレーを活用する
- 分け目を変える・髪をまとめる
ご自身のライフスタイルに合わせて、できる対策から取り入れてみましょう。
【予防法1】帽子や日傘で紫外線を防ぐ
最も手軽で効果的な対策は、帽子や日傘を使って物理的に紫外線をカットする方法です。
UVカット機能が備わった帽子や日傘を使用することで、頭皮への紫外線ダメージを軽減できます。
帽子を選ぶ際は、デザインだけでなく機能性にも注目しましょう。
対策アイテム | 選び方のポイント | 具体例 |
---|---|---|
帽子 | ・つばの広さが7 cm以上あるもの ・UVカット率を示す「UPF50+」など、数値が高いもの ・濃い色で、ポリエステルなど目の詰まった素材 | アウトドアブランドのハット、農作業用の帽子など |
日傘 | ・UVカット率99%以上の表記があるもの ・内側が黒や濃い色になっているもの(地面からの照り返しを吸収) | 遮光・遮熱機能付きの晴雨兼用傘など |
また、毎日髪を同じ分け目にしていると、その部分だけが集中して紫外線を浴びてしまいます。
定期的に分け目を変えるだけでも、ダメージを分散させる効果があるので、おすすめです。
【予防法2】頭皮・髪用UVスプレーを活用する
「帽子や日傘は使えない」「もっと手軽に対策したい」という方には、頭皮や髪専用のUVカットスプレーがおすすめです。
頭皮・髪用UVスプレーは、髪型を崩さずに使えるほか、手も汚れないため、外出先での塗り直しにも便利です。
最近ではさまざまな製品が販売されているため、自分に合ったものを選びましょう。
シーンと肌質で選ぶ比較ポイント
どのUVスプレーを選べば良いか迷ったときは、以下のポイントを参考にしてください。
比較ポイント | おすすめのタイプ | 特徴 |
---|---|---|
利用シーン | レジャー・スポーツ時: SPF50+/PA++++でウォータープルーフタイプ | 汗や水に強く、強力な紫外線を長時間ブロックします。 |
日常使い: SPF30/PA+++程度の石鹸で落とせるタイプ | 頭皮への負担が少なく、普段使いに適しています。 | |
肌質 | 敏感肌の方: ノンケミカル(紫外線散乱剤使用)、アルコールフリー、無香料 | 低刺激処方で、肌トラブルのリスクを軽減できます。 |
使用感 | ベタつきが苦手な方: パウダー配合、速乾タイプ | さらっとした仕上がりで、髪がぺたんこになるのを防ぎます。 |
香りを楽しみたい方: フレグランスタイプ | フローラル系やサボン系など、好みの香りで気分も上がります。 |
ムラなく塗るための正しい使い方
UVスプレーの効果を最大限に引き出すためには、正しく使うことが何よりも重要です。
以下の手順を守って、塗りムラや塗り忘れを防ぎましょう。
- 使用前によく振る:缶を上下によく振り、成分を均一に混ぜ合わせます。
- 髪をかき分ける:スプレーが直接頭皮に届くように、分け目を作ったり髪を持ち上げたりします。
- 10 cm〜15 cm離してスプレー:頭皮や髪から適度な距離を保ち、まんべんなく吹きかけます。
- 分け目を変えながら数回:1カ所だけでなく、分け目を変えながら頭全体にスプレーします。生え際や襟足も忘れずに行いましょう。
- 2〜3時間おきに塗り直す:汗をかいたり、タオルで拭いたりした後は特に、こまめに塗り直すことが大切です。
【予防法3】分け目を変える・髪をまとめる
UVスプレーなどを使わない日でも、手軽にできる対策があります。
それは、定期的に髪の分け目を変えることです。
いつも同じ分け目にしていると、その部分の頭皮だけが集中して紫外線を浴び、ダメージが蓄積してしまいます。
ジグザグに分け目をとったり、日によって左右を変えたりするだけでも、ダメージを分散することが可能です。
また、お団子やポニーテールなどで髪をまとめるのもおすすめ。
髪の毛で頭皮が覆われる面積が広がるため、直射日光が当たるのを防ぐ効果が期待できます。
日焼けした頭皮を回復させる緊急対策【アフターケア編】

万全に対策していても、うっかり日焼けしてしまうことはあります。
日焼けによって頭皮がヒリヒリしたり、赤くなったりした場合は、できるだけ早く適切なアフターケアを行うことが重要です。
放置すると炎症が悪化し、回復が遅れるだけでなく、抜け毛などのトラブルにつながるので注意しましょう。
日焼けした頭皮を復活させるための緊急アフターケアとしては、下記のような対策が効果的です。
- クールダウンで炎症を鎮静化
- ローションでバリア機能を回復
- 低刺激シャンプーで優しく洗う
- 冷風で乾かす
- 痛みやかゆみが強い場合は皮膚科を受診
日焼けしてしまった頭皮は、「冷やす」「優しく洗う」「保湿する」の3ステップを意識して、ダメージを最小限に抑えましょう。
【アフターケア1】クールダウンで炎症を鎮静化
日焼けは軽いやけどと同じ状態なので、まずはとにかく冷やして炎症を抑えることが最優先です。
ほてりを感じたら、すぐに以下の方法でクールダウンしましょう。
- 冷たいシャワーを浴びる(水圧は弱めに)
- 冷水で濡らしたタオルや、タオルで包んだ保冷剤を頭皮に優しく当てる
- 市販の冷却ジェルシートを貼る
ただし、冷やしすぎはかえって頭皮への刺激になることもあります。
氷などを直接当てるのは避け、心地良いと感じる程度の温度で10分〜15分ほど冷やすのが目安です。
【アフターケア2】ローションでバリア機能を回復
日焼け後の頭皮は水分が失われ、非常に乾燥しています。
クールダウンの後は、失われた潤いを補給し、低下したバリア機能を回復させましょう。
化粧水やローションでしっかりと保湿し、できるだけ乾燥した状態を放置しないように心がけてください。
日焼け後の敏感な頭皮には、アルコールや香料などが入っていない低刺激性の製品がおすすめです。
化粧水やローションなどの保湿剤を選ぶ際は、以下のような保湿成分が含まれているものを選ぶのがおすすめです。
保湿成分 | 期待できる効果 |
---|---|
セラミド | 乱れた頭皮のバリア機能を整え、外部刺激から守る |
ヒアルロン酸 | 高い保水力で、頭皮にたっぷりと潤いを与える |
アロエベラエキス | 炎症を抑え、日焼けした頭皮を穏やかに鎮める |
グリチルリチン酸2K | 抗炎症作用があり、赤みやかゆみを和らげる |
乾燥性敏感肌向けに作られた商品は、日焼け後のケアにも適しています。
【アフターケア3】低刺激シャンプーで優しく洗う
日焼けした当日のシャンプーは、いつも以上に優しく行うよう心がけてください。
洗浄力の強いシャンプーは刺激になるため、アミノ酸系などマイルドな洗浄成分の製品を選びましょう。
シャンプー前には、ぬるま湯でしっかりと予洗いをし、シャンプーは手のひらでよく泡立ててから使います。
シャンプーの際に、ゴシゴシと強くこするのはNGです。
頭皮を労わるように、指の腹を使って、マッサージするように優しく洗いましょう。
すすぎ残しはかゆみの原因になるため、時間をかけて丁寧に洗い流してください。
【アフターケア4】冷風で乾かす
シャンプー後は、髪を乾かすドライヤーの温度にも注意が必要です。
日焼けでダメージを受けた頭皮にとって、ドライヤーの熱風は刺激が強すぎます。
炎症を悪化させたり、乾燥を助長させたりする可能性があるため、できるだけ冷風を使いましょう。
まずは、タオルで髪と頭皮の水分を優しく押さえるように拭き取ります。
その後、ドライヤーの冷風モードで、頭皮を中心に乾かしていきます。
時間はかかりますが、ダメージを最小限に抑えるための重要なステップです。
【アフターケア5】痛みやかゆみが強い場合は皮膚科を受診
適切なセルフケアを行っても、赤みやヒリヒリ感が数日たっても治まらない場合や、水ぶくれができてしまった場合は、速やかに皮膚科を受診してください。
自己判断で薬を塗ると、かえって症状を悪化させる危険性があります。
専門医に相談し、適切な治療を受けることが、健やかな頭皮を取り戻すためのもっとも確実な方法です。
頭皮が日焼けしてしまった際の応急処置については、以下の記事でも詳しく紹介しています。
紫外線に負けない頭皮を作る生活習慣

日焼け止めやアフターケアといった外側からの対策と合わせて、体の内側から健やかな頭皮環境を育むことが重要です。
バランスの取れた食事や質の良い睡眠、適切なヘアケアは、紫外線ダメージに強い頭皮の土台を作ります。
紫外線に負けない頭皮を作るために、下記の生活習慣を心がけましょう。
- 抗酸化フードを食卓にプラス
- 頭皮マッサージを行う
- 自分に合った成分のシャンプーを使う
【おすすめ習慣1】抗酸化フードを食卓にプラス
紫外線を浴びると、体内で「活性酸素」という物質が発生します。
活性酸素は細胞を傷つけ、老化を促進させる原因になる物質です。
活性酸素の働きを抑えるために、「抗酸化物質」を食事で摂り入れましょう。
日々の食事に抗酸化物質を豊富に含む食品を摂り入れることで、体の内側から紫外線ダメージをケアできます。
抗酸化栄養素 | 主な働き | 多く含まれる食品 |
---|---|---|
ビタミンC | メラニンの生成を抑制、コラーゲンの生成を助ける | パプリカ、ブロッコリー、キウイ、柑橘類、イチゴ |
ビタミンE | 強い抗酸化作用で細胞の酸化を防ぐ、血行を促進する | アーモンド、アボカド、かぼちゃ、うなぎ |
ポリフェノール | 活性酸素を除去する働きを持つ植物の色素や苦味成分 | ブルーベリー、緑茶、カカオ、大豆、赤ワイン |
リコピン | 強力な抗酸化力を持つカロテノイドの一種 | トマト、スイカ、ピンクグレープフルーツ |
β-カロテン | 体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康を維持 | にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、マンゴー |
上記の食品をバランス良く食事に摂り入れることで、紫外線に負けない体作りを目指せます。
【おすすめ習慣2】頭皮マッサージを行う
頭皮の血行を促進することも、健康な髪を育む上では欠かせません。
これは、血行が良くなることで、髪の成長に必要な栄養素が頭皮の隅々まで行き渡りやすくなるためです。
シャンプーのついでや、お風呂上がりのリラックスタイムに、指の腹で優しく頭皮を揉みほぐす習慣を取り入れましょう。
マッサージの質を高めるためには、日々のヘアケア製品選びも大切です。
上質なヘアケア製品を使いながらマッサージを行えば、紫外線ダメージに負けない、より強くしなやかな髪を目指せます。
【おすすめ習慣3】自分に合った成分のシャンプーを使う
毎日のシャンプーは、頭皮環境を左右する重要な要素です。
自分の頭皮の状態に合わないシャンプーを使い続けると、乾燥や皮脂の過剰分泌、炎症などのトラブルを引き起こす可能性があります。
以下の表を参考に、ご自身の悩みに合った洗浄成分を選んでください。
頭皮の悩み | おすすめの洗浄成分 | 特徴 |
---|---|---|
乾燥・敏感肌 | ・アミノ酸系(ココイルグルタミン酸Naなど) ・ベタイン系(コカミドプロピルベタインなど) | マイルドな洗浄力で、頭皮に必要な潤いを残しつつ優しく洗い上げる。 |
脂性肌・ベタつき | ・高級アルコール系(ラウレス硫酸Naなど) ・石けん系(カリ石ケン素地など) | 高い洗浄力で、余分な皮脂や汚れをすっきりと洗い流す。ただし、乾燥肌には不向き。 |
フケ・かゆみ | ・有効成分配合の薬用シャンプー(ピロクトンオラミン、グリチルリチン酸2K など) | フケやかゆみの原因菌の増殖を抑えたり、炎症を鎮めたりする効果が期待できる。 |
自分の頭皮タイプがわからない場合は、担当の美容師さんに相談してみるのも一つの手です。
私たちコスメフェリーチェがご提供している「KOHAKU」は、さまざまなヘアケアの悩みに寄り添うシャンプー&トリートメントです。
「KOHAKU」の成分や使い方について、詳細はこちらをご確認ください。
これだけは押さえたい!頭皮の紫外線対策Q&A
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ここまで頭皮の紫外線対策について解説してきましたが、まだ細かい疑問が残っている方もいるのではないでしょうか。
それぞれの回答をQ&A形式でご紹介するので、正しい知識を身につけて、より効果的なケアを実践しましょう。
Q. 曇りの日や冬、室内でも対策は必要?
はい、対策が必要です。
紫外線は天候に関わらず一年中降り注いでいます。
特に、雲を透過しやすいUVAは、曇りの日でも晴れの日の50%〜80%の量に達します。
また、冬でも紫外線量がゼロになるわけではありません。
UVAは窓ガラスも透過する性質があるため、室内でも窓の近くで過ごす時間が長い方は注意が必要です。
紫外線対策は夏だけのものではなく、年間を通した習慣と捉えることが大切です。
Q.帽子をかぶりっぱなしにすると禿げる?
直接的な原因にはなりませんが、注意が必要です。
「帽子をかぶると蒸れてハゲる」という話を耳にすることがありますが、帽子をかぶること自体が薄毛の直接的な原因になるわけではありません。
むしろ、紫外線を防ぐ効果の方が大きいと言えます。
ただし、長時間かぶりっぱなしにしていると、汗で帽子の中が蒸れて雑菌が繁殖しやすい環境になるのは事実です。
これが、かゆみや炎症といった頭皮トラブルにつながる可能性はあります。
帽子をかぶる際は、通気性の良い素材を選び、汗をかいたらこまめに脱いで風を通すなどの工夫をしましょう。
今日から頭皮の紫外線対策を始めて、将来の髪を守ろう
赤みやかゆみといった短期的なトラブルから、薄毛や白髪といった長期的な悩みまで、紫外線の影響は多岐にわたります。
大切なのは、帽子や日焼け止めスプレーで日々の紫外線をしっかり防ぐことです。
対策を実施しても、日焼けしてしまったら、速やかに冷却と保湿を中心としたアフターケアを行いましょう。
さらに、抗酸化作用のある食品を摂るなど、体の内側からのケアを組み合わせることで、紫外線に負けない健やかな頭皮環境を育てられます。
頭皮の紫外線対策は、今ある悩みを解決するためだけではありません。
5年後、10年後の自分の髪を守るための大切な「投資」です。
今日からできる小さな習慣を積み重ねて、いつまでも若々しく、自信の持てる髪を維持していきましょう。