【医師監修】抜け毛・薄毛対策:原因究明から今日できるヘアケアまで徹底解説

鏡を見るたびに、抜け毛や薄毛の悩みに頭を抱えている人は多くいます。抜け毛や薄毛は、見た目だけでなく、自信を失ってしまう原因にもなりかねません。

本記事では、医師監修のもと、抜け毛・薄毛の主な原因や今日からできるヘアケア、食生活の改善、年代別の対策まで、あなたの悩みを解決するための情報を徹底的に解説します。

抜け毛・薄毛の悩みを解消し、自信を取り戻すための第一歩を踏み出しましょう。

目次

抜け毛・薄毛の主な原因とは?男女別の要因を徹底解説

抜け毛や薄毛の原因は一つではありません。遺伝的な要素、ホルモンバランスの乱れ、生活習慣、ストレスなど、さまざまな要因が複雑に絡み合って症状を引き起こします。

本章では、抜け毛・薄毛の主な原因を男女別に詳しく解説します。

男性特有の原因:AGA(男性型脱毛症)のメカニズムと対策

男性の抜け毛・薄毛の最も一般的な原因は、AGA(Androgenetic Alopecia:男性型脱毛症)です。AGAは、思春期以降に始まり、徐々に進行していくのが特徴です。

AGAの主な原因は、男性ホルモン(テストステロン)が酵素(5αリダクターゼ)によって、より強力な男性ホルモン(ジヒドロテストステロン:DHT)に変換されることです。

DHTは毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体と結合し、毛髪の成長サイクルを短縮させます。結果として、髪の毛が十分に成長する前に抜け落ちてしまい、徐々に薄毛が進行していきます。

AGAは、遺伝的な要因も大きく関わっています。男性ホルモン受容体の感受性や5αリダクターゼの活性の高さは、遺伝によって受け継がれることがあります。

AGAの進行を遅らせるには、早めの対策が重要です。主な対策としては、以下が挙げられます。

対策詳細
AGA治療薬5αリダクターゼの働きを阻害する内服薬(フィナステリド、デュタステリド)や、毛母細胞を活性化する外用薬(ミノキシジル)などが用いられます。これらの薬剤は、医師の処方箋が必要です。
生活習慣の改善バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけ、頭皮の血行を促進します。
育毛剤の使用頭皮の血行促進に役立ちます。毛母細胞を活性化する成分が含まれた育毛剤を使用するのも有効です。

AGAは進行性の脱毛症であるため、自己判断で放置せずに、専門医に相談し、適切な治療を受けましょう。

参考記事:【男性】AGAの原因とは|聖心毛髪再生外来

女性特有の原因:FAGA(女性男性型脱毛症)と更年期の関係

女性の抜け毛・薄毛の原因として近年注目されているのが、FAGA(Female Androgenetic Alopecia:女性男性型脱毛症)です。FAGAの原因には、女性ホルモン(エストロゲン)の減少が関与していると考えられています。

エストロゲンは髪の成長を促進する働きがあり、頭皮の血行を良くしたり、髪の毛の寿命を延ばしたりする効果があります。更年期に入ると、エストロゲンの分泌量が急激に減少し、相対的に男性ホルモンの影響が強くなるので、FAGAを発症しやすくなるのです。

FAGAは、甲状腺機能の低下や鉄欠乏性貧血、ストレスなどの要因によって引き起こされることもあります。

更年期のFAGAは、エストロゲンの減少を補うホルモン補充療法(HRT)や、頭皮の血行を促進する外用薬、育毛剤などを用いて治療を行います。

参考記事:FAGA(女性型脱毛症)の予防|ヒロクリニック

女性の薄毛を改善する方法|原因から治療法、対処法まで徹底解説

共通の原因:生活習慣、ストレス、食生活の影響

AGAやFAGA以外にも、男女共通を問わず以下のようなものが抜け毛・薄毛の原因として考えられます。

原因詳細
生活習慣睡眠不足や運動不足、喫煙、過度の飲酒などは頭皮の血行を悪くし、髪の成長を阻害する原因です。例えば、睡眠不足は、成長ホルモンの分泌を妨げ、髪の修復を遅らせる可能性があります。
ストレスストレスは自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させ、頭皮の血行を悪くする原因です。また、ホルモンバランスを崩し、男性ホルモンの分泌を促進する場合もあります。
食生活偏った食生活は、髪の成長に必要な栄養素の不足を招き、抜け毛・薄毛の原因です。タンパク質、亜鉛、ビタミン、ミネラルなどは、髪の主成分であるケラチンの生成に不可欠な栄養素です。

抜け毛の対策にあたっては、まず原因の正しい理解が大切です。抜け毛が増えた原因は三者三様なので、原因を突き止めて、適切な対応を取りましょう。

参考記事:薄毛を招きやすい生活習慣|Wクリニック

抜け毛の量は〇本以上で危険信号?セルフチェックで早期発見

本章では、抜け毛の量の目安と、セルフチェックで早期発見する方法を解説します。

抜け毛の量の目安:正常な範囲と異常な抜け毛を見分ける

1日に抜ける髪の毛の量は、一般的に50本から100本程度と言われています。ヘアサイクル(髪の毛の成長、退行、休止)の中で自然に起こる現象なので、心配する必要はありません。

しかし、上記の範囲を超えて抜け毛が増える場合は、何らかの原因が考えられます。抜け毛の量を把握するために、以下の方法を試してみましょう。

方法詳細
起床時の枕の抜け毛を数える朝起きた際に枕についた抜け毛の量をチェックします。
シャンプー時の抜け毛を数えるシャンプー時に排水溝に溜まる抜け毛の量をチェックします。指通りが悪く、大量に抜ける場合は注意が必要です。
ブラッシング時の抜け毛を数えるブラッシングをする際に、ブラシにつく抜け毛の量をチェックします。軽くブラッシングしただけで大量に抜ける場合は、注意が必要です。
1日の抜け毛をまとめて数える1日を通して、床や服に落ちた抜け毛をまとめて数えます。

上記の方法で数日間の抜け毛の量をチェックし、平均的な数を計算します。もし、平均して100本を超えるようであれば、異常な抜け毛である可能性が高いとされています。

参考記事:髪の毛は一日に何本抜けるもの?抜け毛が増える原因や対策を紹介|イースト駅前クリニック女性外来

抜け毛のタイプ別チェック:切れ毛、短い毛、細い毛の違い

抜け毛の量だけでなく、タイプも重要な判断材料です。以下に、タイプ別に考えられる原因と対策をまとめました。

タイプ原因対策
切れ毛・パーマやカラーリングの繰り返し
・ドライヤーの熱ダメージ
・ブラッシングによる摩擦
・パーマやカラーリングの頻度を減らす
・ドライヤーの温度を下げる(距離を保つ)
・目の粗いブラシを使用する
短い毛・ヘアサイクルの乱れ
・栄養不足
・ストレス
・規則正しい生活を送る
・バランスの取れた食事を心がける
・ストレスを解消する
細い毛・加齢
・女性ホルモンの減少
・血行不良
・頭皮マッサージで血行を促進する
・女性ホルモンを補うサプリメントを検討する
・育毛剤を使用する

抜け毛のタイプをチェックし、原因に合わせた対策を行いましょう。

抜け毛が増える時期:季節による変化と対策

抜け毛の量は、季節によっても変化する場合があります。特に夏から秋にかけては、抜け毛が増えやすいと言われており要注意です。季節ごとに、主な抜け毛の原因と対策をまとめました。

季節原因対策
・冬の乾燥による頭皮ダメージ
・花粉症による炎症
・保湿効果の高いシャンプーを使う
・花粉対策を徹底する
・紫外線によるダメージ
・汗や皮脂による毛穴の詰まり
・帽子や日傘で紫外線対策をする
・シャンプーで丁寧に汚れを落とす
・夏のダメージの蓄積
・気温低下による血行不良
・頭皮マッサージで血行を促進する
・栄養バランスの取れた食事を心がける
・乾燥による頭皮の水分不足
・寒さによる血行不良
・加湿器で湿度を保つ
・体を温める

季節の変化に合わせて適切な対策を行うと、抜け毛を最小限に抑えられます。

今日からできる!抜け毛・薄毛対策のヘアケア習慣

抜け毛や薄毛が気になり始めたら、日々のヘアケアの見直しが大切です。正しいヘアケア習慣を身につければ、頭皮環境を整え抜け毛を予防し、健康な髪の成長を促進できます。

正しいシャンプーの選び方と洗い方

間違ったシャンプー選びや洗い方をすると、頭皮に負担をかけ、抜け毛を悪化させてしまう可能性があります。

抜け毛・薄毛対策でシャンプーを選ぶ際は、以下のポイントを意識してください。

  • アミノ酸系シャンプーを選ぶ
  • シリコンフリーシャンプーを選ぶ
  • 添加物の少ないシャンプーを選ぶ

また、シャンプーをする際は、以下の手順で進めましょう。

  1. シャンプー前にブラッシングをする
  2. ぬるま湯で予洗いをする
  3. シャンプーを泡立ててから使う
  4. 指の腹で優しくマッサージするように洗う
  5. すすぎ残しがないように丁寧に洗い流す

抜け毛・薄毛対策でのシャンプの選び方と洗い方について、詳しくは以下の記事で解説しています。

頭皮マッサージで血行促進:効果的な方法と注意点

頭皮マッサージは、頭皮の血行を促進し、毛根に栄養を届けやすくする効果があります。頭皮の緊張をほぐし、リラックス効果も期待できるのでおすすめです。

頭皮マッサージを効果的に行うには、以下のポイントを意識しましょう。

  • 指の腹を使って優しくマッサージする:爪を立てたり、力を入れすぎたりしない
  • 頭皮全体をまんべんなくマッサージする
  • 1回5分程度を目安に行う:毎日の継続が大切
  • オイルや育毛剤を使う:頭皮の保湿や育毛成分の浸透を助ける

ただし、頭皮に炎症がある場合は控えましょう。炎症を悪化させてしまう可能性があります。

ドライヤーの使い方:熱ダメージを防ぐテクニック

ドライヤーの使い方を間違えると、髪に熱ダメージを与え、パサつきや切れ毛を招きます。正しいドライヤーの使い方を身につけ、熱ダメージから髪を守りましょう。

まず、効果的にドライヤーを行うには、事前に以下の準備を行います。

  • タオルドライで水分をしっかり拭き取る:ドライヤーの時間を短縮し、熱ダメージを軽減します。
  • 洗い流さないトリートメントをつける:熱から髪を守り、保湿効果を高めます。

その後、以下のポイントを意識してドライヤーを使いましょう。

  • ドライヤーを髪から20cm以上離して使う:熱が集中するのを防ぎます。
  • 同じ場所に当て続けない:ドライヤーを小刻みに動かしながら乾かします。
  • 温風と冷風を交互に使う:温風で乾かし、冷風でキューティクルを引き締めます。
  • 根元から乾かす:根元が乾きにくいので、最初に乾かしましょう。

ブラッシングで頭皮を刺激:おすすめのブラシと方法

ブラッシングは、髪の絡まりをほぐし頭皮の血行を促進するほか、頭皮の汚れを落として清潔に保つ効果も期待できます。正しいブラシを選び、正しいブラッシング方法を実践しましょう。

ブラシを選ぶ際は、以下のポイントを意識すると良いです。

  • 獣毛ブラシを選ぶ:天然の油分を含み、髪にツヤを与えて静電気を防ぎます。
  • クッション性の高いブラシを選ぶ:頭皮への刺激を和らげます。
  • 目の粗いブラシを選ぶ:髪の絡まりを優しくほぐします。

以下に、ブラッシングの効果的な方法をまとめました。

  • 毛先から優しく行う:絡まっている部分を無理に引っ張らないようにします。
  • 頭皮をマッサージするように行う:力を入れすぎないように注意します。
  • 毎日朝晩2回行う:習慣にすると、より効果を実感できます。

髪を育てる!抜け毛・薄毛対策の食べ物リストと簡単レシピ

健康な髪を育てるには、外側からのケアだけでなく、内側からの栄養補給も非常に重要です。バランスの取れた食事は、抜け毛や薄毛の予防につながり、強く美しい髪を育てます。

本章では、髪の成長をサポートする栄養素、おすすめの食材を紹介します。

必須栄養素:タンパク質、亜鉛、ビタミン群の効果

髪の主成分は、ケラチンと呼ばれるタンパク質です。なので、タンパク質は髪の成長に欠かせない栄養素と言えます。

また、亜鉛はケラチンの合成を助け、髪の健康を維持するのに役立つ栄養素です。ビタミン群も、頭皮の血行促進や細胞の活性化に貢献し、健康な髪の成長をサポートします。

栄養素効果食材例
タンパク質髪の主成分であるケラチンの材料となる肉、魚、卵、大豆製品
亜鉛ケラチンの合成を助け、髪を健康に保つ牡蠣、赤身肉、ナッツ類、海藻類
ビタミンA頭皮の乾燥を防ぎ、健康な状態を保つレバー、卵黄、緑黄色野菜
ビタミンB群髪の成長を促進し、エネルギー代謝を助ける豚肉、レバー、玄米、大豆
ビタミンC抗酸化作用があり、頭皮の老化を防ぐ果物、野菜(柑橘類、ブロッコリーなど)
ビタミンE血行促進作用があり、頭皮の血流を改善するナッツ類、植物油、アボカド

参考記事:薄毛対策に効果的な食べ物、栄養素は?避けるべき食生活や改善までの期間を専門医が解説|大阪AGA加藤クリニック

おすすめ食材:海藻類、大豆製品、緑黄色野菜のパワー

上記で取り上げた栄養素をバランスよく摂取する上で、日々の食事に積極的に取り入れたい食材を紹介します。

  • 海藻類:亜鉛やミネラルが豊富で、髪の健康をサポートします。
  • 大豆製品:タンパク質やイソフラボンを含み、女性ホルモンに似た働きで抜け毛予防に効果が期待できます。イソフラボンは男性の薄毛予防にも効果的です。
  • 緑黄色野菜:ビタミンやミネラル、抗酸化物質が豊富で、頭皮の健康を保ちます。

参考記事:薄毛対策に効果的な食べ物とは?毎日の食事で摂りたい食品リスト|アンファー

簡単レシピ:栄養満点!抜け毛予防レシピ集

上記の食材を使った簡単で栄養満点なレシピを紹介します。忙しい毎日でも手軽に作れるものばかりなので、ぜひ試してみてください。

料理名詳細
海藻と豆腐の味噌汁乾燥わかめ、めかぶなどの海藻と豆腐を味噌汁に入れた簡単レシピです。亜鉛、タンパク質、ミネラルを一度に摂取できます。
大豆と鶏むね肉のサラダ蒸した鶏むね肉と茹でた大豆、お好みの野菜を混ぜ合わせ、ドレッシングで和えるだけ。高タンパクで低カロリー、ダイエット中の方にもおすすめです。
緑黄色野菜のスムージーほうれん草、小松菜、人参などの緑黄色野菜と、バナナやリンゴなどの果物をミキサーにかけるだけの簡単レシピです。手軽にビタミンやミネラルを補給できます。

抜け毛・薄毛のケア方法:20代〜60代まで年代に合わせた対策

抜け毛や薄毛の悩みは、年代によって原因や対策が変わります。本章では、20代から60代まで、年代別のケア方法を解説します。

20代:生活習慣の見直しと予防ケア

比較的ヘアサイクルも安定しており、髪のトラブルも少ない時期です。

しかし、無理なダイエットや偏った食生活、睡眠不足、ストレスなどが原因で、抜け毛や薄毛のリスクが高まる場合もあります。カラーリングやパーマなどによる頭皮へのダメージも蓄積しやすい年代です。

20代の対策としては、まず生活習慣の見直しが重要です。バランスの取れた食事を心がけ、十分な睡眠時間を確保しましょう。ストレスを溜め込まないように、趣味や運動によるリフレッシュも大切です。

30~40代:ホルモンバランスの変化と対策

仕事や家庭で多忙な時期で、ストレスや疲労が蓄積しやすい年代です。女性の場合は、出産や育児によるホルモンバランスの変化も抜け毛の原因となる場合があります。男性の場合は、AGAが進行しやすい時期でもあります。

30~40代の対策としては、まずホルモンバランスの意識が重要です。女性の場合は、婦人科医に相談し、必要に応じてホルモン補充療法などを検討しましょう。男性の場合は、AGA治療薬の使用を検討するのも一つの方法です。

頭皮マッサージや育毛剤の使用も効果的です。規則正しい生活を送り、質の高い睡眠を確保・維持しましょう。

50~60代:更年期と加齢による変化への対策

更年期の影響や加齢による体の機能低下が顕著になる年代です。

女性の場合は、女性ホルモンの減少により、抜け毛や薄毛が進行しやすい時期です。男性の場合は、AGAの進行に加え、白髪の増加や髪のボリュームダウンなどが気になる方もいます。

50~60代の対策としては、まず頭皮と髪への負担軽減が重要です。パーマやカラーリングの頻度を減らし、刺激の少ないシャンプーを使用しましょう。必要に応じて、ウィッグやヘアピースなどを活用するのも良いです。

抜け毛・薄毛の対策で悩みを解決して自信を取り戻そう

抜け毛・薄毛の悩みは、決してあなた一人だけのものではありません。多くの人が同じように悩んでいます。しかし、正しい知識と対策を実行すれば、改善につながります。

本記事が、あなたの抜け毛・薄毛の悩みを解決し、自信を取り戻すための一助となれば幸いです。健やかな髪を取り戻し、毎日を笑顔で過ごせるよう、今日からできる対策を始めてみましょう。

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山下 真理子
山下 真理子
京都府立医科大学医学部医学科 卒業 / のべ10年以上の美容皮膚科勤務を経て、現在はくみこクリニック北山院に勤務している。コロナ以前は、大阪医専にて、医療従事者の教育にも関わった経験がある。 研究分野:- 免許・資格:- 専門領域: ・医療 > 外科・内科以外の診療科 > 皮膚科 ・医療 > 外科・内科以外の診療科 > 美容皮膚科