【医師監修】抜け毛の原因はストレス?特徴と対策方法を徹底解説

【医師監修】抜け毛の原因はストレス?特徴と対策方法を徹底解説

「最近、抜け毛が多いな……」と思ったことはありませんか?

毎日の生活の中に潜むストレスが、実は抜け毛の大きな原因となっているかもしれません。

しかし、そのメカニズムは一体どのようなものでしょうか。

本記事では、医師監修のもと、ストレスと抜け毛の関係について徹底的に解説します。

ストレスによる抜け毛は治るのか、回復を早めるための対策や、抜け毛が止まらない場合の対処法についても触れていきます。

ストレスと抜け毛の関係性をよく理解し、適切な対策を取ることで、あなたの頭皮環境と髪の健康を守りましょう。

ストレスで抜け毛が増える原因

ストレスで抜け毛が増える原因

ストレスは、私たちの心身にさまざまな影響を与えることは、皆様もご存知の通りです。

しかし、実は抜け毛とも、密接な関係があるのです。

では、なぜストレスによって抜け毛が増えるのでしょうか?

そのメカニズムについて詳しく見ていきましょう。

自律神経の乱れ

自律神経とは、私たちの体のさまざまな機能をコントロールしている神経です。

自律神経とストレスの関係は、以下の通りです。

  1. ストレスを受けると自律神経のバランスが乱れ、休息時に活発になる副交感神経より、活動時に活発になる交感神経が優位になる
  2. 交感神経が優位になると血管が収縮し、頭皮の血流が悪くなる
  3. 髪の成長に必要な栄養素が十分に届かなくなり、薄毛が促進される

また、自律神経の乱れは、睡眠の質の低下にもつながります。

睡眠不足は、成長ホルモンの分泌を妨げ、髪の成長を阻害する原因です。

さらに、睡眠不足はストレスを増大させるため、自律神経の乱れをさらに悪化させるといった、悪循環に陥ることもあります。

自己免疫疾患

ストレスは、自己免疫疾患を誘発する可能性もあります。

自己免疫疾患とは、本来、体を守るはずの免疫システムが、誤って自分の体を攻撃してしまう病気です。

円形脱毛症は自己免疫疾患の一つで、ストレスが発症の引き金になることがあります。

ストレスによって免疫システムが異常をきたし、毛包を攻撃することで炎症が起こり、脱毛につながると考えられています。

自己免疫疾患による抜け毛は、通常の抜け毛とは異なり、特定の部位に円形に脱毛が見られることが特徴です。

ホルモンバランスの変化

ストレスは、ホルモンバランスにも大きな影響を与えます。

ストレスが溜まると、コルチゾールというストレスホルモンの分泌が増加します。

コルチゾールは、炎症を抑えるなど、体にとっては必要なホルモンです。

しかし、過剰に分泌されると、さまざまな悪影響を及ぼします。

例えば、コルチゾールは男性ホルモンであるテストステロンの分泌を抑制する一因です。

テストステロンは髪の成長を促進する働きがあるため、分泌が抑制されると、抜け毛につながることがあります。

また、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌にも影響を与えるため、男性だけでなく女性の抜け毛の原因となることもあります。

ホルモンの種類ストレスによる影響抜け毛への影響
コルチゾール分泌量増加テストステロン、エストロゲンの分泌を抑制
テストステロン分泌量減少の可能性髪の成長を阻害
エストロゲン分泌量減少の可能性女性の抜け毛を促進

ストレスによる抜け毛の特徴

ストレスによる抜け毛の特徴

ストレスが原因で起こる抜け毛には、いくつかの特徴があります。

ストレスによる抜け毛の特徴を知っておくことで、自分の抜け毛がストレスによるものかどうかを判断する手がかりになります。

早期に原因を特定し、適切な対策を講じることが大切です。

抜け毛が急激に増えた

通常、抜け毛は自然なヘアサイクルの一部として起こります。

しかし、ストレスが原因の場合、抜け毛の量や頻度が急激に増加することがあります。

これは、ストレスが頭皮の血行を悪化させ、髪の成長に必要な栄養が十分に供給されなくなるためです。

また、ストレスによって睡眠の質が低下することで、髪の成長に必要なホルモンの分泌量が減少するというのも原因です。

抜け毛が細く短い

ストレスによってヘアサイクルが乱れると、髪が十分に成長する前に抜け落ちてしまうことがあります。

そのため、抜ける髪の毛が以前よりも細く、短くなっている場合があります。

これは、髪の成長期が通常より短くなることで、早く抜け落ちてしまうことが原因です。

抜け毛の毛根のふくらみが小さい

健康な髪の毛は毛根部分にふくらみが見られますが、ストレスによって成長が阻害された髪の毛は、毛根のふくらみが小さくなっていることがあります。

これは、髪の毛が十分に成長する前に抜けてしまったことを示唆しています。

【年代別】ストレスと抜け毛の関係性:10代〜30代の世代別解説

【年代別】ストレスと抜け毛の関係性:10代〜30代の世代別解説

ストレスによる抜け毛のメカニズムを理解したら、次に、年代によるストレスの原因の違いや抜け毛の症状の違いについて知っておきましょう。

以下では、10代から30代まで各世代別に、特有のストレス要因と抜け毛の関係性について解説していきます。

10代:若年層のストレスと抜け毛

10代は心身ともに大きく成長する時期であると同時に、さまざまなストレスにさらされやすい年代でもあります。

特に、受験や部活動、友人関係などが大きなストレス源となり、抜け毛を引き起こす可能性があります

ストレスによって睡眠不足や偏食になると、更なる抜け毛の増加につながります。

正しい生活リズムを心がけましょう。

ストレスの種類詳細
学業ストレス受験勉強や定期テストなど、学業に関するプレッシャーは大きなストレスです。睡眠不足や食生活の乱れにもつながりやすく、頭皮環境の悪化を招くことがあります。
部活動厳しい練習や上下関係、試合でのプレッシャーなどは、精神的なストレスとなるだけでなく、肉体的な疲労も蓄積させます。
友人関係友人との人間関係の悩みやいじめなどは、精神的な負担となり、自律神経の乱れを引き起こす可能性があります。

以上のようなストレスは、ホルモンバランスの乱れや血行不良を引き起こし、抜け毛を促進する可能性があります。

10代はまだ心身が発達段階にあるため、ストレスの影響を受けやすいという側面もあります。

20代:社会人としてのストレスと抜け毛

20代は社会人としての生活が始まる時期であり、仕事や恋愛、人間関係など、さまざまなストレスに直面することが多くなります。

特に、以下のような要因が抜け毛につながる可能性があります。

ストレスの種類詳細
仕事のストレス仕事のプレッシャーやノルマ、人間関係の悩みなどは、慢性的なストレスとなり、自律神経の乱れやホルモンバランスの崩れを引き起こします。
不規則な生活習慣残業や飲み会などで生活リズムが乱れやすく、睡眠不足や栄養バランスの偏りなどが、頭皮環境の悪化を招きます。
恋愛の悩み恋愛における悩みや失恋などは、精神的なストレスとなり、抜け毛を促進する可能性があります。

また、20代は若年性脱毛症を発症しやすい年代でもあります。

若年性脱毛症とは、10~30代の比較的若い方に表れる抜け毛の症状です。

これは、ストレスや生活習慣の乱れが原因で起こるといわれています。

生活リズムの乱れで自律神経が乱れてしまわないよう、注意が必要です。

30代:ライフステージの変化と抜け毛

30代は結婚や出産、育児など、ライフステージが大きく変化する時期であり、それに伴ってさまざまなストレスを抱えやすくなります。

特に、女性はホルモンバランスの変化が大きい時期であるため、抜け毛に悩む方が増える傾向にあります。

ストレスの種類詳細
出産後の抜け毛出産後、女性ホルモンの分泌量が急激に変化することで、一時的に抜け毛が増えることがあります。これは、分娩後脱毛症と呼ばれ、多くの女性が経験する症状です。
育児ストレス育児による睡眠不足や疲労、精神的な負担などは、抜け毛を悪化させる可能性があります。
仕事と家庭の両立仕事と育児、家事の両立は、うまくいかないと大きなストレスとなり、自律神経の乱れやホルモンバランスの崩れを引き起こすことがあります。

30代は仕事や家庭において責任が増す時期でもあり、自分自身のケアを怠りがちになる傾向があります。

意識的にリラックスする時間を作ったり、バランスの取れた食事を摂るなど、ストレスを溜め込まないように注意するのが大切です。

関連記事:【医師監修】30代男性必見!抜け毛の原因と対策、セルフチェックの方法を紹介

ストレスによる抜け毛の予防・対策方法

ストレスによる抜け毛の予防・対策方法

ストレスによる抜け毛は、多くの場合、適切な対策を講じることで回復が期待できます。

以下では、ストレスによる抜け毛の予防・対策方法を紹介します。

質の高い睡眠で自律神経を整える

睡眠不足は自律神経の乱れを引き起こし、抜け毛を悪化させる原因になります。

毎日同じ時間に寝起きし、7~8時間の睡眠時間を確保するように心がけましょう。

寝る前にカフェインを摂取したり、携帯電話を長時間使用することは避け、リラックスできる環境を整えることが大切です。

アロマを焚いたり、軽いストレッチをしたりするのも効果的です。

バランスの取れた食事で髪に栄養を届ける

髪の健康を維持するためには、バランスの取れた食事が不可欠です。

特に、タンパク質、ビタミン、亜鉛は髪の成長に重要な栄養素です。

肉、魚、卵、大豆製品などから良質なタンパク質を摂取し、野菜や果物からビタミンをバランス良く摂るようにしましょう。

また、ミネラルや鉄分も抜け毛予防に効果的な栄養素として知られています。

適度な運動で血行を促進する

適度な運動は血行を促進し、頭皮への栄養供給を改善します。

ウォーキング、ジョギング、ヨガなど、無理なく続けられる運動を習慣化しましょう。

デスクワークなどで長時間同じ姿勢でいることが多い場合は、定期的に休憩を取り、軽いストレッチや体操を行うように心がけましょう。

リラックスできる時間をつくる

ストレスを溜め込まないためには、自分なりのリラックス方法を見つけることが重要です。

趣味に没頭する、音楽を聴く、自然の中で過ごすなど、心身をリフレッシュできる時間を作りましょう。

また、瞑想や深呼吸もストレス軽減に効果的です。

正しいヘアケアで頭皮環境を整える

頭皮環境が悪化すると、抜け毛を促進する原因になります。

シャンプーは頭皮に優しいアミノ酸系のものを選び、爪を立てずに指の腹で優しくマッサージするように洗いましょう。

すすぎ残しがないようにしっかりと洗い流し、タオルドライ後は育毛剤や頭皮用美容液を使用するのもおすすめです。

また、ドライヤーの熱風は頭皮を乾燥させるため、あまり温めすぎず、低温と交互に使用するようにしましょう。

抜け毛の改善には、正しいヘアケアも重要です。

抜け毛が止まらないときの対処法

抜け毛が止まらないときの対処法

抜け毛が止まらないのは、単なる一時的な現象ではなく、何らかのサインかもしれません。

抜け毛が止まらないときは、以下の対処法を試してみましょう。

対処法詳細
原因の特定と対策まず、抜け毛の原因を特定することが重要です。ストレス、頭皮環境の悪化、ホルモンバランスの乱れ、栄養不足など、さまざまな原因が考えられます。原因を特定し、適切な対策を行いましょう。
ヘアケアの見直しシャンプーやコンディショナーなどのヘアケア製品が、頭皮に合っていない可能性があります。低刺激で、アミノ酸系のシャンプーなど、頭皮に優しい製品を選びましょう。また、シャンプーの仕方にも注意が必要です。ゴシゴシと強く洗うのではなく、指の腹で優しくマッサージするように洗いましょう。
生活習慣の改善睡眠不足、偏った食生活、運動不足などは、抜け毛を悪化させる原因です。質の高い睡眠を確保し、バランスの取れた食事を心がけましょう。また、適度な運動は血行を促進し、頭皮への栄養供給を助けます。
専門家への相談抜け毛が長期間続く場合や、抜け毛の量が多い場合は、専門家(皮膚科医やAGA専門医)への相談をおすすめします。専門家は、抜け毛の原因を特定し、適切な治療法を提案してくれます。
育毛剤の使用市販の育毛剤の中には、頭皮の血行を促進したり、毛母細胞を活性化させたりする成分が含まれているものがあります。育毛剤を使用する際には、成分や効果、副作用などをよく確認し、自分の頭皮に合ったものを選びましょう。

抜け毛の対処法は、原因によって異なります。

自己判断で対策を行うのではなく、専門家のアドバイスを受けながら、適切な対処を行うことが大切です。

まとめ:ストレスと抜け毛の関係を理解し、適切な対策をとろう

まとめ:ストレスと抜け毛の関係を理解し、適切な対策をとろう

抜け毛とストレスの関係性について、そのメカニズムから具体的な対策まで詳しく解説しました。

ストレスがホルモンバランスや自律神経を乱し、結果として抜け毛を増加させる可能性があることを、ご理解いただけたでしょうか。

ストレスによる抜け毛からの回復を早めるための具体的な方法としては、質の高い睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動、リラックスできる時間の確保、正しいヘアケアなどがあります。

このような対策をしても、抜け毛が止まらない場合は、できるだけ早く専門家への相談を検討するのがおすすめです。

早めの診断と適切な対処で抜け毛の悩みを解消し、健やかな髪を取り戻しましょう。

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五藤 良将(ごとう よしまさ)
五藤 良将
経歴:千葉県立東葛飾高校卒、防衛医科大学校医学部卒。その後に自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどの勤務を経て2019年9月に継承開業に至る。 研究分野:糖尿病、AGEs、動脈硬化、 免許・資格: • 医師免許、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医、日本医師会産業医、日本美容内科学会評議員著書、論文所属 • 医療法人社団五良会 竹内内科小児科医院 院長  • 医療法人社団五良会 理事長 専門領域: • 医療 > 外科・内科以外の診療科 > 皮膚科 • 医療 > 外科・内科以外の診療科 > 美容皮膚科