妊娠中の抜け毛の疑問解消!原因や安全・避けるべき対策を紹介!

妊娠中の抜け毛の疑問解消!原因や安全・避けるべき対策を紹介!

妊娠中の抜け毛は、妊婦が経験するマイナートラブルの一つです。
実際に「妊娠してから、なんだか抜け毛が増えたかも…」などと、 抜け毛に悩みがある方もいるでしょう。

本記事では、妊娠中に抜け毛が生じる原因から抜け毛を促進するNG行為、抜け毛のサイクルまで、医師監修のもとで解説します。
また、妊婦さんにおすすめな抜け毛対策と逆に避けるべき対策についてもまとめました。

最後まで読めば、妊娠中の抜け毛に関する疑問をひと通り解消できるはずです。

妊娠中の抜け毛はホルモン変化に伴う自然な現象

妊娠中に起きる抜け毛の多くは、ホルモンバランスの変化による自然な現象と考えられています。

数多くあるホルモンのなかでも、妊娠中の抜け毛や薄毛に強く関係しているのが、女性ホルモンです。

女性ホルモンは、通常一定のバランスで周期的に分泌されていますが、妊娠にともないホルモン間のバランスや周期が乱れることで、抜け毛につながります

逆に言えば、ホルモンバランスが整うと元に戻る症状のため、過度に気にすることはありません。
経過を観察しながら、適切な対策を続けることが大切です。

抜け毛がひどい時は医療機関の受診を

あまりにも抜け毛がひどい場合や、かゆみなどほかの症状をともなう場合は、医療機関を受診すると良いでしょう。

こういった場合、ただの妊娠中の抜け毛ではなく、以下のような脱毛症を発症している可能性が疑われるためです。

脱毛症名原因や薄毛の特徴
牽引性脱毛症・ポニーテールなどで髪が長時間引っ張られ、頭皮が血行不良となることで発症
・生え際や側頭部が局所的に薄くなる
FAGA(女性男性型脱毛症)・女性ホルモンの分泌量減少にともない、相対的に男性ホルモンの割合が高くなることで発症
・頭頂部を中心に、徐々に毛が細くなる
びまん性脱毛症・ストレスや栄養不足、生活習慣の乱れが主な原因で発症
・頭皮全体の毛が均一に抜けて細くなる

特に、1日に200本以上の毛がごっそりと抜ける場合や、そういった症状が数カ月間続く場合は、早急に対処が必要です。

脱毛症の場合は自己判断で対策するのではなく、医師の診察を受け、適切なアドバイスや治療を受ける必要があります。

薄毛の特徴や原因に心当たりがある場合は、お近くの皮膚科や産婦人科を受診し、抜け毛について相談してみましょう。

参考:妊娠初期に抜け毛が増える原因を紹介|妊娠中にできる抜け毛対策や抜け毛がいつまで続くか解説|ベアAGAクリニック

髪の毛が増える人も

妊娠中はエストロゲンのほかに、プロゲステロンの分泌も増加します。
プロゲステロンとは、髪における成長期の持続を促進する作用のホルモンです。

プロゲステロンの分泌が増加すると、通常であれば休止期に入るはずの髪の毛も成長を続け、太く健康的な髪が育ちます
その結果、妊娠中に全体的に髪のボリュームが増す方も多くいます。

出産後にエストロゲンの分泌量が減少すると、妊娠期に増えた髪の毛もまとめて抜け落ちる傾向にあります。

そのため、妊娠に伴う抜け毛は、どちらかと言えば妊娠中より出産後に多くなる方が多い傾向にあります。

産後の抜け毛にも要注意

妊娠中の抜け毛だけでなく、産後の抜け毛にも注意が必要です。

産後は、エストロゲンの分泌量が急激に減少するだけでなく、育児による睡眠不足やストレスも重なり、抜け毛がひどくなることがあります。

多くはエストロゲンの影響を受けている自然的な現象であるため、ホルモン分泌量の変化にあわせて、産後2カ月~3カ月ごろから始まり、半年~1年程度で落ち着くことが一般的です。

産後の抜け毛に対しても、育毛剤の使用やストレス解消など適切なケアを行うことで、症状を緩和できます。

妊娠中に抜け毛が起きる主な原因

妊娠中の抜け毛は、女性ホルモンのバランスの乱れ以外に、頭皮環境の悪化や睡眠不足にともなう成長ホルモンの分泌量低下など、さまざまな原因が関係しています。

本章では、妊娠中に抜け毛が起きる主な原因を解説します。

参考:妊娠初期に抜け毛が増える原因を紹介|妊娠中にできる抜け毛対策や抜け毛がいつまで続くか解説|ベアAGAクリニック

ホルモンバランスの変化

先述の通り、妊娠中の抜け毛は、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの変化が主な原因です。

それぞれのホルモンは、以下のように髪の毛と深く関係しています。

エストロゲンプロゲステロン
ヘアサイクルを正常に保ち、髪の毛の成長を促す髪の成長期を維持し、抜け毛や薄毛を抑制する

エストロゲンとプロゲステロンの分泌量は対の関係にあり、どちらか一方が増えると、どちら一方は減少するのが特徴です。

妊娠中は、赤ちゃんの発育のため、エストロゲンとプロゲステロンどちらの分泌量も増加します。
しかし、妊娠初期においては、エストロゲンよりもプロゲステロンの働きが優位となり、一時的にエストロゲンの割合が減少します。

それぞれのバランスが急激に崩れることで、通常のヘアサイクルが乱れ、一時的に抜け毛が増加するのです。

髪の毛の栄養不足

妊娠中は、おなかの赤ちゃんに栄養を送るために、普段よりも多くの栄養が必要なため、ママの体は栄養不足になりがちです。

特に、髪の毛の成長に必要なタンパク質やビタミン、ミネラルが不足すると、髪の毛が細くなることや抜けやすくなるため注意が必要です。

また、つわりがひどく、食事が偏る場合や食べる量が少ない場合も、栄養不足に陥りやすくなります。

過剰なストレス

妊娠中は、体調の変化や出産への不安などから精神的に不安定になりやすく、ストレスを感じやすい時期です。

過剰なストレスがかかり続けると、自律神経のバランスが乱れ、血行不良につながる可能性があります。
特に、頭皮の血行が悪くなると、髪の毛に必要な栄養が十分に届かないため、抜け毛の原因になります。

頭皮環境の悪化

妊娠中は、さまざまな原因から頭皮環境が悪化し、抜け毛が進みます。

以下が、頭皮環境の悪化につながる主な原因です。

  • プロゲステロンの分泌が活発になり、頭皮の皮脂分泌が過剰になる
  • 睡眠不足などでストレスホルモンのコルチゾールが増加し、皮脂分泌が過剰になる
  • 非妊娠期よりも体温が高くなるため、汗をかきやすくなり、頭皮に皮脂がたまる
  • 羊水量の維持などのために大量の水分が必要になり、頭皮を含む体全体が乾燥しやすくなる

皮脂が過剰に分泌されると、毛穴が詰まりやすくなり、炎症を引き起こすことがあります。
炎症が慢性化すると、毛根への栄養・酸素供給が阻害されるため、抜け毛が進行します。

頭皮が油っぽい原因とは?症状や直し方、シャンプー選びまで完全網羅!

妊娠中の抜け毛につながるNG行為

ここからは、妊娠中の抜け毛につながる2つのNG行為を紹介します。
なぜ、避ける必要があるのかについても解説しますので、あらかじめ確認しておきましょう。

セルフカラー

妊娠中は、ホルモンバランスが不安定になり、頭皮が敏感になります。
そのため、妊娠前は特に問題なく使用できていたカラー剤でも、かぶれなどの肌トラブルにつながる可能性があり、使用時には注意が必要です。

特に、市販のカラー剤には、髪や頭皮にダメージを与えるとされるモノエタノールアミンが配合されているものもあります。

どうしてもカラーリングをしたい場合は、事前に医師へ確認したり、より安全なカラー剤を使用する美容室でのカラーリング施術をおすすめします。

参考:【医師監修】妊娠中にヘアカラーで髪を染めてもよい?胎児への影響や美容室へ行くときの注意点|トモニテ

無理なダイエット

妊娠中はホルモンの影響などによって、少量の食事ですぐに体重が増える方もいます。

しかし、体重が増えたことを気にして、食事を抜いたり、炭水化物を食べないといった無理なダイエットはよくありません。

無理なダイエットで栄養が不足すると、おなかの赤ちゃんの成長だけでなく、髪の毛の成長にも悪影響を及ぼし、抜け毛を進行させます。

食事を管理する場合は、自己判断ではなく、医師や栄養士に相談し、適切なアドバイスを受けましょう

参考:妊娠中や産後に髪が薄くなった気がします。回復するのでしょうか?心配です。|ひたちなか母と子の病院

妊娠中の抜け毛はいつまで?

一般的に、妊娠中の抜け毛は、エストロゲンの分泌割合がプロゲステロンよりも優位になる妊娠中期ごろまでです。

妊娠20週目ごろから、妊娠初期に生じた女性ホルモンバランスの変化にともなう抜け毛は、徐々に収まると言われています

ただし、ストレスや頭皮環境の悪化など、ほかの原因が関係している場合は、産後にも抜け毛が続く可能性があります。
妊娠してから増えた抜け毛が妊娠後期に入っても改善しない場合は、早めに専門医へ相談しましょう。

参考:【医師監修】妊婦さんの抜け毛の原因は?妊娠中・産後の抜け毛対策|エレビット

妊娠中の抜け毛対策

妊娠中の抜け毛は、適切な対策を行うことで緩和できます。

本章では、妊娠中でも安心して行える抜け毛対策を紹介します。

髪の栄養を考慮した食事

健康な髪の成長には、バランスの取れた食事が不可欠です。
特に、以下の栄養素を積極的に摂取しましょう。

  • タンパク質:肉や魚、卵、大豆から摂取
  • ビタミン:特にビタミンB群。緑黄色野菜やきのこ類、レバーから摂取
  • ミネラル:特に亜鉛や鉄。赤身の肉やほうれん草から摂取

具体的に知りたい方には、各栄養素の推奨量や食事の例がまとめられている、厚生労働省の妊産婦のための食生活指針が参考資料としておすすめです。
書かれている内容を参考にしながら、栄養素を意識したバランスの良い食事をできる限り心がけましょう。

また、つわりなどの体調不良で食べるのがつらいときは、サプリメントを使うのもおすすめです。
ビタミンやミネラルなどを含むサプリメントが提供されているため、食事で栄養を摂取するのが難しい場合は活用しましょう。

ただし、サプリメントで補う場合は、専門医への事前相談を推奨します

女性の薄毛を食事で改善!今日からできる食生活の見直しと対策

参考:【医師監修】妊娠中に抜け毛が増える原因は?産後は元に戻る?対処法も解説|トモニテ / 妊娠初期に抜け毛が増える原因を紹介|妊娠中にできる抜け毛対策や抜け毛がいつまで続くか解説|ベアAGAクリニック

十分な睡眠時間の確保

睡眠不足は、ホルモンバランスを乱し、抜け毛を促進させます。

心身ともにリラックスできる時間を確保するためにも、胎動や体調が落ち着いているときは、できる限り早めの就寝をおすすめします。

質の良い睡眠を取るために意識したいポイントは、以下の通りです。

  • 寝る前のブルーライトを避ける:寝る直前は読書などに切り替える
  • ぬるめのお風呂に入る:入浴はリラックス効果があり、スムーズな入眠を促す
  • 寝室の環境を整える:暗く静かで、快適な温度に保つ

参考:【医師監修】妊娠中に抜け毛が増える原因は?産後は元に戻る?対処法も解説|トモニテ

ストレス発散

妊娠中は、うまく体を動かせなかったり、好きなものを食べられない場合があり、非妊娠期に比べて制限が多いため、ストレスが溜まる方も少なくありません。

ストレスは、抜け毛の原因となるだけでなく、母体や胎児にも悪影響を及ぼす可能性があります。
妊娠期でもできる、かつ楽しめるストレス解消法を見つけ、適度にストレスを発散しましょう。

具体的には、以下のような方法がおすすめです。

  • 軽い運動をする:マタニティヨガなど、無理のない範囲で体を動かす
  • 趣味を楽しむ:映画を観るなど、趣味に没頭する時間を作る
  • 友人や家族と話す:親しい人と話す機会を作る

参考:【医師監修】妊娠中に抜け毛が増える原因は?産後は元に戻る?対処法も解説|トモニテ

こまめな頭皮ケア

抜け毛を防止するためには、頭皮を清潔に保ち、血行を促進することが大切です。

ただし、妊娠中は、ホルモンバランスの変化にともない頭皮が敏感なため、より丁寧な頭皮ケアを心がけましょう。

頭皮ケアをする際のポイントは以下の通りです。

  • シャンプーは優しく行う:指の腹で頭皮をマッサージするように洗い、すすぎ残しがないように洗い流す
  • 刺激の少ないシャンプーを選ぶ:妊婦向けの無添加シャンプーなど、頭皮に優しい成分が配合された商品を選ぶ
  • ブラッシングで頭皮を刺激する:頭皮を傷つけないように、目の粗いブラシで優しくブラッシング

参考:【医師監修】妊娠中に抜け毛が増える原因は?産後は元に戻る?対処法も解説|トモニテ

刺激が少ない育毛剤の活用

育毛剤は頭皮に直接働きかけ、血行を促進するとともに、毛母細胞(髪を作る細胞)を活性化させる効果が期待できます。

具体的に、以下の天然由来成分を含む育毛剤は、薄毛や抜け毛に効果があるとされています。

  • センブリエキス:血行促進に役立つ
  • ニンジンエキス:脱毛を防止
  • グリチルリチン酸:頭皮環境を改善

また、育毛剤を選ぶ際は、下記の点に注意しましょう。

  • 頭皮にダメージを与える成分がない:アルコールフリーや合成着色料、パラベンなどがない商品を選ぶ
  • 香り成分がない:においづわりの可能性を考慮し、無香料の育毛剤を選ぶ
  • マッサージで育毛剤の効果を高める:育毛剤を塗布したあとは、指の腹で優しくマッサージし、成分の浸透を促す

ただし、育毛剤を使用する際は、皮膚刺激性試験が済んでいたり、妊娠中の使用が認められている育毛剤であっても、専門医に相談してから使用しましょう。

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妊娠中に避けるべき抜け毛対策

妊娠中は、デリケートな時期だからこそ、普段は何気なく行っているケアが抜け毛を悪化させる可能性があります。

特に、以下のヘアケア成分が入っている育毛剤の活用は避けるべきです。

  • ラウリル硫酸アンモニウム
  • ラウリル硫酸ナトリウム
  • ラウリル硫酸TEA
  • ラウリル硫酸アンモニウム
  • ラウレス硫酸ナトリウム
  • ラウレス硫酸TEA
  • オレフィン(C14-C16)スルホン酸ナトリウム
  • ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム

非妊娠期に問題なく使用できていたとしても、妊婦にとっては合わない成分を含む場合があるため、利用前に専門医へ相談しておくと安心です。

参考:妊娠初期に抜け毛が増える原因を紹介|妊娠中にできる抜け毛対策や抜け毛がいつまで続くか解説|ベアAGAクリニック

妊娠中の抜け毛は適切な対策で改善しよう

妊娠中の抜け毛は、ホルモンバランスの乱れだけでなく、頭皮環境の悪化などさまざまな原因が重なることで進行すると考えられています。

育毛剤の活用やこまめな頭皮ケアなど、適切な対策を行うことで改善が期待できます。
大切なのは、焦らずに自身の体調と相談しながら、無理のない範囲で対策を継続することです。

必要に応じて専門医に相談し、対策を行うことで、妊娠中の抜け毛とうまく付き合っていきましょう。